8月11日,シカゴの連邦陪審によって,Microsoftに約5億2100万ドルもの支払いが言い渡された。カリフォルニア大学が保持するWebブラウザ関連の特許を同社が侵害しているという。

 この訴訟はこれまでほとんど報道されていなかったが,プラグインやアプレット,ActiveXコントロールのようにブラウザに機能を追加する技術に関するものだ。この技術は,カリフォルニア大学と発明者Michael Doyle氏,David Martin氏,Cheong Ang氏が1998年に取得した特許により保護されている。Doyle氏は大学を離れたあと,Eolas Technologiesという会社を起こしており,このWebブラウザの特許に関する独占的なライセンスは同社に供与されている。最初にEolas社が,Microsoftを1999年に訴え,カリフォルニア大学の評議員が1年後にこの訴訟に加わった。

 訴訟では,MicrosoftはInternet ExplorerやWindows 95以降の各種WindowsでEolasの特許を侵害したとされる。Microsoftは,2001年10月にEolasの特許は普遍的なものでなく,特許とは独立して開発されたIEや他の製品には適用されないと主張した。

 しかし,連邦裁判所は,2001年12月にこの特許が広く,「組み込まれたプログラム・オブジェクト」に適用され,Webブラウザの中にあっても有効であり,Microsoftは特許侵害の申告について法廷で弁明する必要があると裁決した。結局,7月の中旬に公判が行われ,陪審員の審議が先週の金曜日に始まり,結論が月曜日に出た。

 Eolasの特許は適用範囲が広いので,NetscapeやSun Microsystemsも該当する可能性がある。Netscapeのブラウザはプラグインが利用可能で,Sun MicrosystemsにはJavaアプレット技術があるためだ。しかし,現時点でEolasが訴えたのはMicrosoftだけである。論理的に十分な標的であり,資産も多いからだろう。Eolasは公式には他社を訴える計画があるかを明らかにしていない。

 5億2100万ドル支払いの判決は大変厳しいものに思えるが,Eolasが求めていた12億ドルからすれば,大幅なダウンである。一方,Microsoftはこの判決に対して上訴すると述べている。Microsoftの広報担当者は「われわれは,事実がわれわれの地位を支持することに自信がある。われわれは証拠によって,いかなる侵害もなく,訴えられたブラウザの技術はわれわれのエンジニアが独自に開発したもので当時のMicrosoftの技術に基づいていることが示されると信じる」と述べた。

(Paul Thurrott)