米国電気電子学会(IEEE)の標準化委員会は,無線LAN規格「IEEE802.11g」を最終承認した。IEEEが米国時間6月12日に明らかにしたもの。
IEEE802.11gはIEEE802.11の修正版に相当する規格。現在普及しているIEEE802.11bの通信速度が最高11Mbpsであるのに対し,IEEE802.11gは54Mbpsと高速化を図った。両規格は同じ周波数帯域と搬送周波数を利用する。同一ネットワーク上でそれぞれの規格に対応する機器が混在する場合でも,IEEE802.11g機器は通信速度をIEEE802.11bと同じ11Mbpsに下げられるので,相互に通信することが可能。
「世界中で多くの802.11b対応無線LANが使われているので,(相互接続性を保ったまま)通信速度を54Mbpsに高速化できることに対する市場の需要はかなり高い」(IEEE802.11ワーキング・グループ会長のStuart J. Kerry氏)
IEEEによると,無線LAN製品の相互接続性を確認する業界団体Wi-Fi Allianceが,IEEE802.11gの承認を歓迎するコメントを寄せているという。「同規格の承認を受け,当団体は近々最初の『Wi-Fi CERTIFIED 802.11g』(Wi-Fi認定802.11g)製品を発表する」(Wi-Fi Allianceマネージング・ディレクタのFrank Hanzlik氏)
また米Texas Instruments(TI)は同日,IEEE802.11g,同802.11b,同802.11b+,同802.11aに対応するLSI「TNETW1130」の出荷を始めたことを明らかにした。「米SMC Networks,米U.S. Robotics,米NETGEAR,韓国Samsung Electronics,英Sitecom UKが当社のLSIを採用し,IEEE802.11gや複数モードWi-Fi対応製品のリリースを計画している」(TI社)
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■一喜一憂の802.11g
[発表資料(IEEE)]
[発表資料(TI社)]