「企業の無線LANセキュリティはおそろかな状態で,相変わらず悪意を持ったハッカーの攻撃を招いている」。米RSA securityが米国時間3月17日に,企業無線LANのセキュリティに関する調査結果を発表した。

 それによると,企業の無線LAN導入は前年に比べ300%も増加した。しかし,無線対応ノート・パソコンなどセキュリティ上の弱点となりうる要素が増えた影響で,セキュリティ対策はお粗末なままという。「暗号化していないデータを街にばら撒く危険性が増している。調査したネットワークの63%が無線LANをデフォルト設定のまま使っており,情報所有者のはっきりわかるデータが盗聴できてしまう」(RSA Security社)

 調査は英Z/Yenが英国ロンドンで実施したもの。無線LAN機能付き携帯機器を持ち歩くなどして,無線LAN情報の収集を行った。同じ方法/経路で実施した前年の調査では,無線LANの67%が攻撃に対し無防備な状態であった。

 同社は,「多くの企業が,データ暗号化,システムのデフォルト設定値変更,アクセス・ポイントやノート・パソコンの安全性確保といったセキュリティに対する十分な対策をとっていない」と指摘する。「調査はロンドンで行ったが,米国の都市でも同様の結果が得られるだろう」(同社)

 RSA Security社ワールドワイド・マーケティング部門バイス・プレジデントのJohn Worrall氏は,「いかなるときも,強力なセキュリティはあらゆる無線業務環境の第1歩だ」と述べる。「世界中で無線ネットワークが普及したが,ネットワークの安全確保への歩みはいまだに進んでいない。無線ネットワーク導入で“裏口”を設けてしまうと,どんなにインフラ防御に投資しても無駄だということを,企業は認識しなければならない」(同氏)

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