ディアイティは2003年5月22日,最大54Mビット/秒のIEEE802.11g規格に準拠した無線LAN製品群「Proxim ORiNOCO」を発表した。主に企業での利用を想定した機能を備えるのが特徴。具体的には,既存の802.11aや802.11b準拠の無線LANと併用できるようにし,さらに無線LANの業界標準規格「WPA(Wi-Fi Protected Access)」を採用するなどセキュリティを強化した。

 今回発表したのは,(1)デスクトップPC用の無線LANカード「ORiNOCO 802.11a/b/g PCI Card Gold」,(2)無線LANのアクセス・ポイント「ORiNOCO AP-600g」,(3)既存のアクセス・ポイントのアップグレード・キット「ORiNOCO AP-2000 802.11b.g Upgrade Kit」---の3製品。いずれも開発は米Proximで,802.11gのドラフト規格を基に製品化した。IEEE802.11gは2.4GHz帯の周波数を利用し,最大で54Mビット/秒の伝送速度を実現する無線LANの規格。6月から7月にかけてドラフトが承認され,正式規格として公開される予定である。

 (1)は802.11a/802.11b/802.11gに準拠するPCIカード(出荷は7月上旬)。PCIカードに付属する1.5mのケーブルの先に外部アンテナがあり,PCを床に設置した場合でも感度の良い場所にアンテナを立てられる。(2)は802.11gに準拠したアクセス・ポイント(出荷は6月下旬)。(3)は,既に発売されている802.11a/802.11b準拠のアクセス・ポイント「ORiNOCO AP-2000」シリーズを802.11gに対応させるためのアップグレード・キット(出荷は6月下旬)。規格の種類を問わず2枚の無線LANカードを装着できるモジュールであり,既存のアクセス・ポイント内のモジュールと交換して使用する。これにより,802.11bと802.11gを組み合わせて使う場合でも,スループットの低下を防ぐことができる。802.11bと802.11gの両方に準拠する1枚のカードで無線LANを混在利用する場合は,トラフィックの分離ができないためにスループットの低下が起こり得る。ほかに,既存の802.11b準拠のアクセス・ポイント「ORiNOCO AP-600b」を802.11gに対応させるアップグレード・キット「ORiNOCO AP-600b/g Upgrade Kit」も,6月末をメドに提供する。いずれの製品も6月には,WPAに準拠する予定である。

 価格は,ORiNOCO 802.11a/b/g PCI Card Goldが2万2800円,ORiNOCO AP-600gが6万4800円,ORiNOCO AP-2000 802.11b.g Upgrade Kitが2万4800円。ORiNOCO AP-600b/g Upgrade Kitの予定価格は2万1800円。なお既に4月に発表した,ノートPC用の無線LANカード「ORiNOCO 802.11a/b/g ComboCard Gold」の価格は1万9800円。

 このほかディアイティは,Proxim社の無線LAN製品に対して「無償先出しセンドバックサービス」を4月から始めている。このサービスは,メーカー保証期間内であれば,故障した場合に無償かつ即日に代替品を出荷するもの。ユーザーは,手元に代替品が届いてから1週間以内に故障品を送り返さなければならない,という条件はあるものの,修理ではなく新品と即交換ができる。

(岡本 藍=日経システム構築)