米Gartnerが米国時間5月14日に,世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。それによると,景気の先行き不透明感にもかかわらず,2003年第2四半期の世界パソコン出荷台数と売上高は,若干増加する見込みだという。

 2003年第2四半期のパソコン出荷台数は,前年同期比6.4%増の3070万台に達する見通し。売上高は同2.6%増の383億ドルにのぼるとみる。ただし,「世界パソコン市場が順調に活気を取り戻すかどうかは,世界経済が回復するタイミングと速度にかかっている」(Gartner社)。

 Gartner社主席アナリストのGeorge Shiffler氏は,「対イラク戦争が思ったより早く決着が付き,大方の予測ほど経済的損害が少なく済んだことは世界経済にとって朗報だ。しかし,戦争が終われば景気が回復するだろうと多くの人々が期待していたが,今のところその気配はみえない」と述べた。また,「米国では景気の見通しがさまざまに交錯し,2003年の国内総生産(GDP)につても『前年より回復』と『悪化』に意見が分かれている」(Shiffler氏)と付け加えた。

 SARSも頭が痛い問題だ。「SARSの発生により,すでに一部のアジア経済が明白な痛手を受けている。同地域内の取引が深刻な混乱に陥れば,アジア全体の経済が重大な損害を負うだろう」(Shiffler氏)

 パソコン業界で各社が最も期待するのはモバイル分野である。米Intelのモバイル技術「Centrino」は大企業向けプラットフォームの主流となるだろう。しかし,「Centrinoによってノート・パソコン販売が短期的に急伸することはない。Centrinoの主要ターゲットである大企業は,通常3~6カ月かけて新技術を検証するためだ」とGartner社は指摘する。また,昨年11月に登場したタブレットPCもそれほど市場に食い込んでいない。Gartner社の推計によれば,2003年第1四半期におけるモバイル型パソコンの総出荷台数のうち,タブレットPCが占める割合はわずか1%程度だという。

 なおGartner社は,2003年通期の世界パソコン出荷台数が前年比6.6%増の1億3690万台,総売上高が同3.3%増の1706億ドルに達すると予測している。

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