米Gartnerが米国時間4月17日に,2003年第1四半期の世界パソコン市場に関する調査結果の速報を発表した。それによると,世界のパソコン出荷台数は3450万台で前年同期と比べて5.5%増加した。
Gartner社コンピューティング・プラットフォーム・ワールドワイド部門バイス・プレジデントのCharles Smulders氏は,「第1四半期の世界パソコン市場はわずかに予測を上まわったが,大幅な回復をみせるほどではない。第1四半期の市場を支えた要因は,メーカーの積極的な価格引き下げだった」と述べた。1月と2月の市場は予測より好調だったが,3月後半にイラク戦争の影響を受けた。また,Smulders氏によれば,「重症急性呼吸器症候群(SARS)は,第1四半期の世界市場には目立った影響を与えてはいない」という。
米Dell Computerは,上位メーカーの中で最も急速に出荷台数を伸ばし,首位に返り咲いた。「Dell社は,米国で着実な伸びを維持すると同時に,英国,フランス,ドイツ,日本などで出荷台数を拡大した」(Smulders氏)
2位に転落した米Hewlett-Packard(HP)は,特に米国と欧州/中東/アフリカ(EMEA)で厳しい状況となった。
■2003年第1四半期における世界パソコン市場のメーカー別出荷台数速報(単位:1000台) 2003年Q1 市場 2002年Q1 市場 伸び率 メーカー 出荷 シェア 出荷 シェア 台数 (%) 台数 (%) (%) ---------------------------------------------------------------------- Dell 5,828.4 16.9 4,687.0 14.3 24.4 Hewlett-Packard 5,375.9 15.6 5,700.4 17.4 -5.7 IBM 1,869.8 5.4 1,751.0 5.4 6.8 東芝 1,241.2 3.6 1,041.0 3.2 19.2 NEC 1,162.7 3.4 1,268.3 3.9 -8.3 その他 18,992.1 55.1 18,229.1 55.8 4.2 合計 34,470.1 100.0 32,676.9 100.0 5.5 ----------------------------------------------------------------------
注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,IA32サーバーを含む。
HP社の数字には米Compaq Computerのデータが含まれる。
富士通とFujitsu Siemensの数字を合わせると,世界パソコン市場で4位となる。
出典:GartnerのDataquest社
2003年第1四半期の米国パソコン出荷台数は1180万台で,前年同期比7.7%増加。消費者向け分野が好調だった。通常,ホリデー・シーズン後である第1四半期の消費者向け分野は需要が伸びないが,当期はデスクトップ・パソコンが予測より好調だった。
■2003年第1四半期における米国パソコン市場のメーカー別出荷台数速報(単位:1000台) 2003年Q1 市場 2002年Q1 市場 伸び率 メーカー 出荷 シェア 出荷 シェア 台数 (%) 台数 (%) (%) ---------------------------------------------------------------------- Dell 3,634.1 30.7 2,932.6 26.7 23.9 Hewlett-Packard 2,247.6 19.0 2,325.2 21.1 -3.3 IBM 567.8 4.8 579.3 5.3 -2.0 Gateway 506.0 4.3 645.0 5.9 -21.6 東芝 383.6 3.2 307.9 2.8 24.6 その他 4,506.8 38.0 4,211.3 38.3 7.0 合計 11,845.9 100.0 11,001.3 100.0 7.7 ----------------------------------------------------------------------
注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,IA32サーバーを含む。
HP社の数字にはCompaq社のデータが含まれる。
出典:GartnerのDataquest社
ノート・パソコンの伸び率が,引き続きデスクトップ・パソコンのそれを上まわった。タブレットPCや,米Intelのモバイル技術「Centrino」を搭載した製品の搭乗により,ノート・パソコンへの注目が高まっているが,「出荷台数増加の主な要因とはならなかった」(Gartner社)。「Centrinoは企業分野に焦点を当てているが,IT予算の引き締めという問題のほか,ユーザーの評価を得るための時間が必要となる」(Smulders氏)
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