米IDCが米国時間3月14日に,世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。2002年通期の世界パソコン出荷台数は1億3620万台で前年比1.3%増加した。2003年は前年比6.9%増加すると予測する。しかし,売上高でみると,2002年は前年比9.8%減少している。2003年は同1.8%減少する。
なお,IDCは2002年12月に,「2003年以降は企業と消費者の両分野で伸びをみせる。政府機関分野の支出は減速するものの,世界におけるパソコン出荷台数は2003年に8.3%増加する」との予測を発表していた。今回の調査結果はこれを下方修正することになる。
2002年第4四半期の世界パソコン出荷台数は3840万台で,売上高は469億ドルに達した。出荷台数の伸び率は前年同期比3.7%増で第3四半期より若干減速したが,「全体的にはゆるやかに回復している」(IDC)。
「さまざまな面で,パソコン市場は予想通りの動きをみせている。消費者分野はゆっくりと成長し,企業分野は慎重な姿勢を崩さない。政府機関や教育機関の支出減少も予測していたことだが,今後もこの傾向は加速するだろう」(IDC,Worldwide Quarterly PC Tracker部門ディレクタのLoren Loverde氏)
地域別にみると,米国では今後,消費者の需要が高く,企業の支出も徐々に回復する。公共分野は,2002年に政府や教育機関のIT投資に力を入れ,パソコン支出をほとんど削らなかったが,2003年は予算の問題などから大幅に支出が減少する見通しである。
西欧は,景気の低迷や政治的な不透明感から,企業が引き続きパソコン投資を先延ばしにするだろう。欧州は2002年第4四半期に,予想に反して需要が減速した。消費者分野は好調だったが,企業と公共分野は予測を下回った。
日本は他の地域とは逆に,消費者分野が弱く,企業と公共分野が好調だった。2003年は消費者分野の需要が企業分野に追いつき,年末には日本市場全体の成長をけん引するようになる。2001年と2002年はパソコン出荷台数が前年と比べて減少したが,今年は前年比2.9%増加する見通しだ。
日本を除くアジア太平洋市場は,2003年前半に企業と公共分野の成長が減速するが,後半は世界経済の回復とともに盛り返すとみる。
■米国パソコン市場の出荷台数推移(単位:100万台) 2000年 2001年 2002年 2003年* 2004年* [出荷台数] 消費者 9.3 15.5 16.8 18.8 20.7 企業 32.7 30.5 30.7 31.6 34.8 合計 52.0 46.1 47.5 50.3 55.5 [伸び率] 消費者 -19.6% 8.4% 11.3% 10.2% 企業 -6.6% 0.5% 2.9% 10.2% 合計 -11.4% 3.2% 5.9% 10.2% *推測値 出典:IDC
■世界パソコン市場の出荷台数推移(単位:100万台) 2000年 2001年 2002年 2003年* 2004年* [出荷台数] 消費者 52.4 47.2 48.3 52.1 57.5 企業 87.5 87.0 87.8 93.5 103.6 合計 140.0 134.2 136.2 145.6 161.1 [伸び率] 消費者 -10.0% 2.4% 7.8% 10.2% 企業 -0.6% 0.9% 6.5% 10.8% 合計 -4.1% 1.4% 6.9% 10.6% *推測値 出典:IDC
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