米IDCが米国時間12月6日に,世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年通年のパソコン出荷台数は1億3620万台で前年比1.6%増の見通し。これは,ピークである2000年と比べて2.6%低い数字である。しかし,市場は2003年以降に大きく回復するという。
2003年以降は企業と消費者の両分野で伸びをみせる。政府機関分野の支出は減速するものの,世界におけるパソコン出荷台数は2003年に8.3%増,2004年には11%増加する見込みである。
IDC,Worldwide Quarterly PC Tracker部門ディレクタのLoren Loverde氏は,「今後,数四半期にわたって世界のパソコン出荷台数は伸び悩むが,2003年後半に回復が加速する」と説明した。「企業による支出は2003年前半から上向くとみる。モバイル,無線ネットワーキング,広帯域などの普及や,新デザインの登場,メディアの融合,TCOの向上といった要因が,市場の緩やかな成長を後押しする」(同氏)
米国は,政府のセキュリティ関連の取り組みにより第3四半期が好調だった。また,今年は感謝祭が早いことから消費者分野の支出増加が期待される。しかし,セキュリティの懸念や対イラク問題などが企業と消費者の支出に影響を与える可能性がある。政府機関の支出も縮小する見通しである。
西欧は,第3四半期に政府機関の支出が減少したが,企業と消費者分野は成長した。しかし,2002年通年のパソコン出荷台数は前年比0.5%減となる見込みだ。2003年は前年と比べて6%以内の伸びと予測する。
日本市場は,企業の収益が伸びず,経済に対する自信が低下しているため,大きな打撃を受けている。経済回復が重要なきっかけとなるが,今後も用心深く手頃な価格の製品を好む傾向が続く。
アジア太平洋地域は予想を上回る規模となった。中国における政府の投資が同地域をけん引した。しかし,世界経済の先行き不透明感に加え,同地域のテロ爆弾事件,イラク戦争勃発の懸念などにより,投資にはますます用心深くなっている。
■米国と世界市場のパソコン出荷台数推移(単位:100万台) 米国市場 2000年 2001年 2002年* 2003年* 2004年* 消費者分野 19.3 15.5 16.6 17.8 19.0 企業分野 32.7 30.5 30.9 32.9 36.8 合計 52.0 46.1 47.4 50.8 55.8 世界市場 2000年 2001年 2002年* 2003年* 2004年* 消費者分野 52.4 47.1 48.0 51.8 56.4 企業分野 87.5 87.0 88.1 95.7 107.3 合計 139.9 134.1 136.2 147.5 163.8 *予測値 出典:IDC
■米国と世界市場のパソコン出荷台数伸び率(単位:%) 米国市場 2001年 2002年* 2003年* 2004年* 消費者分野 -19.6% 6.5% 7.8% 6.5% 企業分野 -6.6% 1.2% 6.7% 11.7% 合計 -11.4% 3.0% 7.1% 9.9% 世界市場 2001年 2002年* 2003年* 2004年* 消費者分野 -10.1% 2.0% 7.8% 9.0% 企業分野 -0.6% 1.4% 8.6% 12.1% 合計 -4.2% 1.6% 8.3% 11.0% *予測値 出典:IDC
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