米Apple Computerが米国時間4月6日に,ラスベガスで開催中の放送関連の展示会「NAB 2003」で各種ソフトウエアの新版を発表した。ビデオ編集ソフトウエア「Final Cut Pro 4」,DVDオーサリング・ソフトウエア「DVD Studio Pro 2」,合成と視覚効果ソフトウエア「Shake 3」である。

 Final Cut Pro 4は,フィルム,HD,SD,DVD編集向け。「新たに300以上の機能を追加した」(Apple社)という。リアルタイムのエフェクト実装アーキテクチャ「RT Extreme」は,同時に多数のビデオ・ストリームにリアルタイムで対応し,数百ものエフェクトをリアルタイムで処理する。FireWire接続した外付けモニターを使って視覚効果をリアルタイムで確認することができる。

 そのほか,8ビット/10ビットの高画質非圧縮フォーマット,32ビットの浮動小数点演算処理機能,タイトル作成ツール「LiveType」,BGM作成ツール「Soundtrack」,「Compressor」,コード変換ツール「Compressor」などを備える。Compressorを使って,DVD用MPEG-2やストリーミング・メディア用MPEG-4,QuickTimeフォーマットへの書き出しが可能。

 Final Cut Pro 4は6月にリリースする。米国での希望小売価格は999ドル,アップグレード価格は399ドル。

 DVD Studio Pro 2は,ユーザー・インタフェースを一新し,「Final Cut Proを利用するプロだけでなく,消費者向けDVDアプリケーション『iDVD』などを利用しているユーザーにとっても使いやすいようにした」(Apple社)。

 テンプレートには,スタイル,ボタン,背景のライブラリが付属する。カスタマイズした独自のテンプレートを,同僚や顧客企業と共有することができる。また,新たなメニュー・エディタにより,ドラッグ・アンド・ドロップ操作で,コンテンツからメニューを作成可能。スライドショー作成やチャプター・インデックスの自動生成なども簡単に行える。

 DVD Studio Pro 2では,タイムライン機能を強化し,チャプター・マーカー,8つのビデオ・アングル,8つのオーディオ・トラック,32のサブタイトル・トラックを追加および管理できるようにした。そのほか,Final Cut Pro 4と同様,コード変換ツールCompressorを備える。

 DVD Studio Pro 2は8月にリリースする予定。米国での希望小売価格は499ドル。また新バージョン発表に伴い,同日より現行版の「DVD Studio Pro 1.5」を499ドルに値下げする。

 Shake 3は,ネットワーク・レンダー管理ソフトウエア「Shake Qmaster」を新たに備える。視覚効果デザイナは,Apple社のサーバー「Xserve」やデスクトップ・パソコン「Power Mac G4」から成るクラスタ・システム全体に,無制限にレンダリング処理機能を分散させることができる。また,新たな視覚効果も追加した。

 Shake 3は「Mac OS X」のほか,Linux,IRIXに対応する。6月に出荷する予定。米国での希望小売価格は,Mac OS X対応版が4950ドル(無制限のレンダー・ライセンス込み),LinuxとIRIX対応版が9900ドル。1年間のメンテナンス・サービス料は1485ドル。

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