WWW関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)が米国時間3月19日に,「Royalty-Free Patent Policy」の最終草案に対するコメント受付を同日より開始すると発表した。

 Royalty-Free Patent Policyは,W3Cの勧告する仕様に含まれる特許の取り扱い方針を定める規定で,「抑止特許による,WWWインフラ主要要素に対する脅威を緩和する」(W3C)という問題の解決を目的としている。

 W3C Patent Policy Working Group議長兼技術&ソサエティ部門リーダーのDaniel J. Weitzner氏は,「この複雑で訴訟問題がよく発生する特許分野でポリシーを策定ことは,困難な作業だ」と述べる。「特許所有者,オープン・ソース開発者,ユーザーなどいずれのグループも,完全に要望をポリシーに反映できたわけではない。しかしこの最終草案で,所有権付きからオープン・ソースまで多様なビジネス・モデルに対し,幅広くW3C標準を適用するための共通かつ実用的なポリシーを策定できた」(同氏)

 同ポリシーの主要目的について,W3Cは「ロイヤルティ・フリーを基本に,W3C勧告の実装を可能にすること」と説明する。そのためW3C会員は,W3C勧告実装に必要な特許の存在を知った場合,その特許を所有する会員に開示を要求しなければならない。

 Royalty-Free Patent Policyの主な内容は以下の通り。

・W3C勧告仕様の策定作業に参加する全関係者は,基本特許のライセンス供与に同意する必要がある

・特定の条件において,ロイヤルティ・フリー合意により特定の特許を除外できる

・W3C勧告実装に必要不可欠な特許を知っている者には,特許開示を要求する

・問題解決の際に同ポリシーとの矛盾が発生する特許請求に関しては,紛争解決手続きに従って処理する

 同ポリシーに対する一般およびW3C会員のコメント受付期間は,同日より2003年4月30日の6週間とする。最終的な特許ポリシーは,全コメントを考慮した上で2003年5月にW3Cディレクタが判断する。

 同ワーキン・グループのメンバー企業/組織は以下の通り。米AOL,米Apple Computer,米AT&T,米Avaya,Daisy Consortium,米Hewlett-Packard,米IBM,フランスILOG S.A.,米Intel,米Lexmark,米Microsoft,MITRE,米Motorola,フィンランドNokia,カナダNortel Networks,Open Group,米Oracle,オランダRoyal Philips Electronics,英Reuters,米Sun Microsystems,米Xerox,Free Software Foundation,Software in the Public Interest,Open Source Initiative。

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