米IBMが米国時間3月7日に,自律型コンピューティング環境を実現するためのソフトウエア技術「Adaptive Forecasting」「Rapid Reconfiguration」「On-line Capacity Planning」を発表した。
自律型コンピューティング環境では,デスクトップ・パソコンからメインフレーム,ソフトウエア,ミドルウエアといったシステムや各部品すべてが設定,修復,最適化,保護を自身で実行する。自己管理だけでなく,相互管理も行う。エンドユーザーは複雑な作業を実感することなく,システムを利用できる。
今回発表した技術は,IBM社のResearch Division部門とSoftware Group部門が共同で開発したもの。突発的な負荷上昇を予測してサーバー能力を追加したり,負荷減少に応じて稼働サーバーを制限するなど,自動的な対処が可能という。「WebSphere Application Server Version 5」「DB2 Universal Database version 8」の最新版に対応し,他社製アプリケーションやプラットフォームとの組み合わせも想定している。
数学モデルと新たなモデル適用の手法を使ったAdaptive Forecastingで,等差数列的な負荷上昇を予測し,On-line Capacity Planningでサービス・レベルの維持に必要なリソースを判断する。Rapid Reconfigurationは,WebSphere Application Server Version 5.0の新機能を利用し,必要に応じてノードの追加/切り離しを行う。ピークが過ぎ,トラフィックが元の状態に戻ると,システムは自動的にリソースを通常の体制に切り替える。
「ITシステムが複雑になるほど,その管理はますます困難になり,費用もさらにかさむ。人間の介在が最小限で済む自律型コンピューティング・システムのニーズは,日々高まっている」(IBM社)
IBM社は,今回発表した技術をGlobal Services部門のサービスに取り入れる。3月12日~19日にドイツのハノーバーで開催される事務・情報・通信技術の国際見本市「CeBit」で,Adaptive Forecasting,Rapid Reconfiguration,On-line Capacity Planningを取り入れたサービスのデモンストレーションを行う予定である。
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