米IBMは自己管理/自己修復機能を備えた自律型コンピューティング・システムに取り組む部門「Autonomic Computing」の設立を米国時間10月21日,発表した。優れた自己管理自己修復機能の実装を簡素化するためのハードウエア,ソフトウエア,サービスを提供する。

 Autonomic Computing部門はIBM社IBM Research部門の元Strategy担当バイス・プレジデントであるAlan Ganek氏が率いる。IBM社における個別の関連活動を集約し,顧客のITインフラ自動化を支援する。同社IBM Global Services部門やIBM Research部門と協力し,自己管理/自己修復技術および製品の普及促進を図るとしている。

 自律型コンピューティング環境では,デスクトップ・パソコンからメインフレーム,ソフトウエア,ミドルウエアといったITシステムや各部品すべてが設定,修復,最適化,保護を自身で実行する。自己管理だけでなく,相互管理も行う。エンドユーザーは複雑な作業を実感することなく,システムを利用できる。

 IBM社は主に以下の製品に自己管理/自己修復機能を組み込む計画である。

・「WebSphere Application Server Version 5.0」:自己管理機能を備えた環境で,e-businessアプリケーションを開発,統合,実装できるようにする。性能に関するトラブルの監視,分析,復旧を自動的に実行する。

・「Tivoli」ソフトウエアの新製品:顧客がITインフラを自動的に管理できるようにする。26種類の自己管理/自己修復機能を実装する。

・「DB2 version 8」:データベース管理に関する作業を自動化する。2002年11月21日に一般に向けてリリースする。

・IBM社製パソコン:ハード・ディスク装置の故障からデータを保護する「Client Rescue and Recovery」やパソコン同士が協力して無線ネットワークのセキュリティ・ホールを検出する「Distributed Wireless Security Auditor(DWSA)」といった開発中の機能を組み込む。Client Rescue and Recoveryは2003年末までに利用可能になる。

 そのほか,IBM社は以下の活動にも取り組む計画である。

・自律型コンピューティング・システムの開発モデルを提供。システム・エンジニアやIBM社IBM Global Services事業のコンサルタントが使用し,顧客における自律型インフラ開発の各段階を支援する。

・顧客のビジネスおよび技術インフラの障害許容力を検証し,改善するためのプラクティス「Resilient Business and Infrastructure Solutions Practice」を構築。IBM Global Services部門が担当する。

・Autonomic Computingの設計センターを世界中に開設。顧客やパートナ企業が自己管理/自己修復技術の試験を行えるようにする。

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