米Jupiter Researchが米国時間3月5日に,ビデオ・オンデマンド(VOD)市場の今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,会員制VOD市場が急成長を遂げ,2003年の5600万ドル規模から2007年には8億ドル規模へと拡大するという。また,会員制でないVOD市場は2003年の2億9300万ドル規模から,2007年には14億ドル規模へと成長する。

 VOD市場全体をみた場合,同市場は年平均58%で成長し,2003年の3億4900万ドル規模から2007年には22億ドル規模に達する見通しだ。

 Jupiter Research社上級アナリストのLydia Loizides氏は,「ケーブル事業者は,オンデマンド方式によりデジタル・ケーブル・テレビ(CATV)の収益を必ず伸びると考えた。実際にサービスが始まり,消費者の購入パターンが安定すると,視聴するビデオごとに料金を支払うVODは,ペイ・パー・ビュー(PPV)市場と同様,利用者が頭打ちになっている」と説明する。

 一方会員制VODは,サービス内容と価格が消費者にとって分かりやすいため,急成長を遂げる見通しだ。

 Jupiter Research社は,ケーブル事業者と番組制作者にとって,会員制VODの方が視聴ごとに料金を徴収するVODより,効率的に収入を得ることができると指摘する。ケーブル事業者は,既存のコンテンツをパッケージ化し,オンデマンド・サービスとして提供すればよいため,資本支出を増やす必要がない。番組制作会社は,会員制VODを特別サービスとして売り込んだり,デジタルTVユーザーに付加価値として提供できる。

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