米Gartnerの一部門であるGartnerG2が米国時間1月30日に,ビデオ・オン・デマンド(VOD)に関する調査結果を発表した。米国家庭に広帯域接続が普及するにつれ,VODが新しい娯楽として喧伝されている。しかしVODサービスの需要が大幅に高まるのは2005年からだという。

 「広帯域を利用して高品質の娯楽番組を提供するためには,少なくとも3年はかかる。製作スタジオは現在,インターネット・ストリーミングやダウンロード技術を利用した将来のビジネス・モデルを模索している段階だ。またVODが成功するには,ビジネス・モデルを確立させるほか,消費者サイドにおける課題も解決しなくてはならない」(GartnerG2部門,リサーチ・ディレクタのP.J. McNealy氏)

 米国では現在,1億600万世帯のうち10%の家庭が広帯域接続を利用している。しかし2001年6月時点では,過去3カ月にデジタル映画やビデオをダウンロード購入したことがある成人インターネット・ユーザーは,わずか2%だった。パソコンを使ってダウンロード・ムービーをみたことがないユーザーのうち,「あまり興味がない」もしくは「全く興味がない」と回答した人は合わせて4分の3に達した。

 またデジタル映画のストリーミングに関心がある消費者は,無料で視聴したいと考えている。「映画のコンテンツ所有者は,アメリカ映画協会(Motion Picture Association of America)に著作権保護を徹底させるように申し入れるなど,自衛策をとる必要がある」(GartnerG2部門)という。

 「インターネットVODサービスにとって最も脅威となるのは,無料のコンテンツを違法に配布するピア・ツー・ピア型のサービスやネットワークだ。アメリカ映画協会は,著作権のある映画を保護する責任がある」(GartnerG2部門リサーチ・ディレクタのGale Daikoku氏)

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