「ビデオ・オンデマンド(VOD)の価格設定が高すぎるため,いずれ年間10億ドルの収入を逃すことになる」──。米国の調査会社Innovista Researchが米国時間11月13日,VOD市場に関して調査した結果を発表した。

 現在,最新の映画をVODで視聴する場合の料金は約4ドルである。しかし,通信事業者は高すぎる料金設定で,みすみす収益を逃している。2002年における損害額は1億ドルに満たないが,今後,VODサービスを利用できる家庭が増え,より多くの映画が劇場とホーム・ビデオで同時に封切りされるようになると,通信事業者が逃している売上高も劇的に増えるとみる。

 Innovista社によると,VODの理想的な利用料金は4ドル未満。料金が4ドルの場合と,4ドルを切った場合とを比較すると,後者の方がはるかに利用者が増えるからだ。VODの利用料金が4ドル未満の場合,価格に敏感な消費者は,値頃感から利用頻度を増やすことが予測される。

 またこの調査では,さまざまな価格設定におけるVODの需要およびユーザー年齢層との関係,ビデオ/ペイ・パー・ビュー(PPV)に対する支出,ペイTVサービスの利用状況,業界の大手企業によるマーケティングがVOD市場に与える影響などについて分析している。

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