米IDCが米国時間2月25日,「米国,欧州,アジア太平洋地域の企業の85%が,2003年のIT予算を増額するか前年レベルを維持する予定である」,などとする調査結果を発表した。しかし,IT予算が回復に向かうかは,経済状況と企業の業績にかかっている。

 調査は,12カ国の企業の最高経営責任者(CEO)と最高情報責任者(CIO)約1000人を対象に実施したもの。

 大多数の企業は,年間を通して定期的にIT予算の見直し行い,景気の動向によっては予算を調整するだろう。IDC,Worldwide IT Marketsプログラム担当ディレクタのStephen Minton氏は,「2002年のIT予算は,米WorldComの破綻や米国の対イラク外交といった不可測要素の影響を大きく受けた。2003年も何が起こるか分からず,明確な見通しを立てるのは難しい」と,説明した。

 また調査から,CEOとCIOではIT予算の増額を検討する要因が異なることが分かった。CIOが,競争力の強化やビジネス・ニーズに対応するためにIT予算を増額する一方で,CEOは収益効果や経済状況を考慮してIT予算を増額する傾向がある。CEOの半数近くがIT予算の増額を遅らせる理由として,「利益の伸び悩みと景気の低迷」を挙げた。

 2003年は,インフラの定期的なアップグレードに対する投資が,IT予算の約半分を占める見通しだ。これは,「過去2年間に企業の多くが設備投資を控えてきたため」(Minton氏)である。これまで抑え込まれてきた需要の反動で,ストレージ機器,ネットワーク機器,パソコンなどの販売が増加する。しかし,全体的な売上高は,価格競争の影響で不調となる。

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