米AberdeenはIT製品やサービスに対する世界の支出に関して調査した結果を米国時間12月19日,発表した。それによると,IT支出は2003年に回復をみせ,前年比4.0%増の1兆2600億ドルとなる見込み。2006年には1兆4400億ドルに達するという。

 世界のIT支出は,長期的にみて年平均4~5%で成長する。米国での支出は,2003年に3.6%増加し,長期的には年平均5~6%で拡大する。しかし,この年平均成長率は,1990年代後半のそれには及ばない。

 Aberdeen社上級副社長のHugh Bishop氏によると,「IT支出の成長を後押しする要素が根本的に変化している」という。「現在は,大手企業の売上高,資本投資の水準,国内経済の安定などが,IT購入を促す。その結果,業界の成長は基本的な企業原則と密接に結びつくようになる」(同氏)

 地域別でみると,2003年のIT支出が最も多いのは北米である。欧州とアジア太平洋地域がそれに続く。しかし2003年~2006年の年平均成長率は,アジア太平洋地域が最も高く,6.5%。北米は4.9%,欧州は2.6%である。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・1990年代後半の急激な支出増加は二度と起こらないだろう。当時の成長を生みだした要因には,2000年問題を前にした企業の買い換え,インターネットや電子商取引に対する熱狂,ドット・コムへの過剰な投資,またドット・コムを脅威に感じた伝統的企業のe-business導入などが含まれる。

・中国の存在がますます重視されるようになる。現在中国はIT製品およびサービスにおける世界で6番目の市場だが,2006年にはドイツ,英国,フランス,イタリアを飛び越え,世界3位の市場に拡大する。

・ソフトウエアとサービスへの支出が増加する一方で,ハードウエアの支出は伸び悩む。世界におけるソフトウエアとサービスへの支出は2002年~2006年にそれぞれ27.2%と17.7%成長するが,ハードウエア支出の増加は8.3%にとどまる。

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