米Allied Business Intelligence(ABI)が米国時間12月5日に,インターネット・アプライアンス(IA)市場に関する調査結果を発表した。それによると,2001年に130億ドル規模だったIA市場は,2002年に140億ドル規模に成長。さらに2007年までには,320億ドル規模に拡大する見込みである。

 ABI社では,「IA市場にある多くの機器は,当初マーケティングの方向性の誤りでつまずいた」と分析する。「しかし,ベンダーがIAの位置付けを“家庭用パソコンの置き換え機器”ではなく“パソコンの機能を補完する製品”に変更しようとしているので,今後は認知度が上がり普及するだろう」(同社)。ただし,IA市場の成長率がこれまでより高くなるにしても,同社が予測対象とした2007年まではパソコンの出荷台数を上回ることはないという。

 米Microsoftが先日リリースを明らかにした「Tablet PC」については,「企業市場においてペン・コンピューティングという分野を再び作り出し,衰えの見られるパソコン市場が必要とする“気合”を入れる可能性がある」(ABI社)と予測する。「Tablet PCは,企業ユーザーの新たな層に対してモバイル・コンピューティングをもたらすことになるだろう。売上高は2007年に100億ドル近くに達する」(ABI社アナリストのLaraine Tunick氏)

 ただし同氏は,「手書き文字認識とフォーム・ファクタの問題を,今後リリースする製品で解決する必要がある」と指摘する。「将来PDAにモバイルおよび無線機能が普及し成果を上げるので,Tablet PCはこれをかわさなければならない」(同氏)

そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・ブロードバンド接続がさらに普及するにつれ,無線ソリューションが注目を集めるようになる

・IAはパソコン技術と家電品を集約する方向へ向かう

・ホーム・エンタテインメント・システムや家庭用アプライアンスは,次第にWWWブラウジングや通信機能を備えるようになる

・ベンダーがコスト削減または付加サービスによる収入確保の手段を見出すまでは,価格がIAのネックになる

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[発表資料(PDF形式)]