米Frost & Sullivanが米国時間11月25日に世界の鉛蓄電池市場に関する調査結果を発表した。同市場の売上高は,2001年の292億8000万ドルから2008年には357億2000万ドルに拡大するという。

 「とりわけ欧州とアジアにおける第3世代(3G)通信システムの導入に加え,新たな車載電子機器の登場が鉛蓄電池市場の成長を後押しする。品質の安定や競争力のある価格設定も,需要を支える」(Frost & Sullivan社)

 調査対象には,SLI(スターティング,ライティング,イグニッション)バッテリ,モーティブ鉛蓄電池,据え置き型鉛蓄電池などが含まれる。

 「3Gネットワークは,既存のネットワークと比べて40倍速く音声やデータを伝送する。3G導入によって新たなビジネスが生まれ,高性能の電池を使った製品強化が進むだろう」(Frost & Sullivan社業界アナリストのSara Bradford Mardegain氏)

 インドや中国の通信分野は政府主導の取り組みにより,広範囲のインターネット利用や携帯電話向け無線ネットワーク構築が進んでいる。新たなインフラの構築にデータ通信装置や電気通信装置が用いられるため,鉛蓄電池の需要が増加している。

 また自動車業界では,電気自動車の開発やDVDナビゲーション・システム搭載といったトレンドが高まっている。そのため,自動車製造業者は鉛蓄電池業界と協力し,デュアル・バッテリ・システムや電源電圧が最大42ボルトのバッテリ開発に取り組んでいる。

 バッテリ・ベンダーは製品の差異化とブランド認知度向上を図り,新機能の追加と品質向上に注力するべきだ。「ベンダーは戦略的提携を結ぶことで,製品ラインを拡充し,対象となる市場を拡大している。また,在庫調整や安全性および品質管理におおいても成果をあげている」(Frost & Sullivan社)

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