米GartnerのDataquestが米国時間8月27日に,携帯電話機の世界市場について調査・分析した結果を発表した。それによると,2002年第2四半期における携帯電話機の販売台数は9870万台。前年同期と比べて0.8%増加し「回復の兆しが表れた」(同社)という。

 今年前半,携帯電話機メーカーは,カラー・ディスプレイや新たなデータ技術を導入するなど,大きな製品転換の準備を進めてきた。その一方で通信キャリアは,新たなアプリケーションやサービスの商用化に注力してきた。「MMS(multimedia messaging service)に代表されるこうしたサービスが,通信キャリアの売上増大に貢献していく。加入者数では頭打ちとなっている携帯電話市場だが,こうしたサービスが携帯電話機の買い換え需要を喚起する」(Dataquest社)と分析する。

 販売台数では,フィンランドのNokiaが首位を維持した。GSM(Global System for Mobile Communications)携帯電話機のエントリ・レベル製品で競争力を維持できたのがその要因という。米Motorolaも第1四半期より販売台数を伸ばし,2位を維持した。3位の韓国Samsungは販売台数を前年同期から46.4%伸ばした。

 「Samsung社はシェア10%にまで迫ろうとしており,その地位を強固なものにしている。シェア10%というのはSamsung社にとって心理的に重要な目標値。この目標値が達成されれば,Nokia社とMotorola社のすぐ後を追っているという確固たる証拠となる」(Dataquest社上級アナリストのBryan Prohm氏)

■2002年第2四半期における
 エンドユーザー向け携帯電話機の世界販売台数(速報値,単位:1000台)

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              2002年Q2      2002年Q2     2001年Q2    2001年Q2
メーカー      販売台数     市場シェア    販売台数   市場シェア  伸び率
                             (%)                  (%)     (%)
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Nokia          35,089        35.6        33,432       34.2       5.0
Motorola       15,496        15.7        15,326       15.7       1.1
Samsung         9,342         9.5         6,382        6.5      46.4
Siemens         8,247         8.4         7,245        7.4      13.8
Sony Ericsson※ 5,309         5.4         7,506        7.7     -29.3
その他         25,220        25.6        27,993       28.6      -9.9
合計           98,703       100.0        97,884      100.0       0.8
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※Sony Ericsson社の2001年Q2販売台数はソニー製品を含まない。
出典:Dataquest社

 2002年第2四半期の販売台数は,前年同期比0.8%増と増加率はわずかだったが,チャネル向け出荷台数は,同8.2%増となっている。これは世界市場における需要と供給の相関関係がうまく管理されていることを示しているという。Dataquest社では「かつてあった在庫問題が2002年中にほぼすべてが消滅する」とみている。

 また買い換え需要についても同社は楽観視しており,「このことは西欧で顕著」と説明する。「モバイル事業者が,画像/写真メッセージング・サービスの大々的なマーケティング活動を行うことで,カラー・ディスプレイ搭載携帯電話機の買い換え需要が喚起される」(同社欧州部門上級アナリストのBen Wood氏)

 世界市場全体の販売台数については好調な第4四半期が見込めるという。「主要メーカーから低価格の新製品が投入され,これが第4四半期の販売を押し上げる一因となる。2002年通年におけるエンドユーザー向け携帯電話機の世界販売台数は,これまで通りほぼ4億2000万台と考えている」(同氏)

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