「テレマティックス・サービスに対する消費者の興味は増しているが,2005年より前に同サービスの採用が著しく増加することはない」。米Gartnerの調査サービス部門GartnerG2が米国時間10月3日に,テレマティックス市場に関する調査結果を発表した。

 同調査は,同年5月と6月に全米5835人の成人(18歳以上)に電子メールで実施したもの。12カ月以内に新しい自動車にテレマティックス・サービス搭載を選択すると回答したのは,1.3%だけだった。

 「テレマティックスに対する主な興味は,引き続き自動車に直接関係がある非購読ベースのコミュニケーション,安全,セキュリティを中心としている」(同社アナリストのThilo Koslowski氏)。

 調査によれば,米消費者のおよそ50%が,次に購入する自動車にテレマティックス機能を搭載し,ハンズ・フリー,音声認識により携帯電話を使いたいと考えていることが明らかになった。消費者の5分の2は,緊急サービスに接続できるSOSボタンを望んでおり,3分の1が自動車の盗難に備えて車体の追跡機能を望んでいる。また,車内からインターネットに接続して電子メールの送受信,オンライン・ショッピングができるテレマティックス・アプリケーションの需要は引き続き低く10%未満だった。

 「テレマティックス・サービスに対する長期的な需要を押し上げるためには,新しいビジネス・モデルが必要である。同サービスを,顧客の家庭,職場,車内における情報,通信のニーズに対応する幅広いモバイル・サービスの一部として提供する必要がある」(同氏)。

 同社アナリストは,自動車製造業者,サプライヤ,テレマティックス・プロバイダが,消費者のテレマティックスに対する要望を認識し,時間の経過に伴って変化するニーズに対応するために,技術に柔軟性を持たせるべきだとしている。

 短期的には,最低限のリソースしか必要ないが,将来的により包括的なサービスにアップグレードできるソリューションを開発すべきである。たとえば,テレマティックス・プロバイダは,Bluetoothまたはその他の無線技術を介して,自動車に限定されないモバイル・サービスへの接続性を提供することができる。

 テレマティックス・アプリケーションは,容易に自動車以外のモバイル・デバイスをターゲットにして位置をベースとした情報を提供できる。そのため,テレマティックス・プロバイダは,より多くの市場部門に参入できるとともに,ターゲットとする市場を広げることができる。同社は,対象とする市場の拡張を勧める一方で,この先2年間が正念場となると予測されるテレマティックス市場も見捨てるべきではないとしている。

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