米Crayはベクトル型スーパーコンピュータ「Cray X1」システムを米国時間11月14日に発表した。最高で毎秒52兆4000億回(52.4テラFLOPS)の演算を処理でき,65.5テラ・バイトのメモリーに対応する。米国における価格は約250万ドルから。

 同システムは,12.8ギガFLOPSという性能を持つプロセサを複数備え,1台のきょう体で最高819ギガFLOPSの演算性能を提供可能という。システムに搭載可能なプロセサ数は8個から4096個(ノード数は2から1024),メモリーは32Gバイトから65.5テラ・バイト。

 Cray社は,「現在の一般的なクラスタ・コンピューティング製品と比較すると,Cray X1システムのプロセサは40倍高速で,大規模かつ複雑な問題を効率よく処理できるよう7倍から40倍のメモリー帯域幅を持つ」と説明する。

 さらに同社は,米IDCワールドワイド・システム&サービス部門担当副社長のDebra Goldfarb氏による以下のコメントを引用している。「現在のクラスタ化システムは,初期導入コストが安く,数多く導入することが可能だ。しかし,こうしたシステムが,次世代の科学/技術的問題を解決するのに必要な極めて高い演算性能を提供できるとは限らない」

 「クラスタ・システムを使ったことのあるプログラマなら,Cray X1のMPI(Message Passing Interface)対応,キャッシュ,分散メモリー,32ビット/64ビットIEEE対応といった環境に馴染みがあると気付くだろう」(Cray社Cray X1システム担当チーフ・アーキテクトのSteve Scott氏)

 同社はすでにCray X1システムを受注しており,2002年末までに注文数がさらに増えるとみる。早期生産した5台のCray X1は,米国海軍高性能コンピューティング研究センターと,ある顧客の導入検査に合格済みという。またスペインの国立気象研究所が,840万ドルの複数年契約でCray X1システムを発注している。「最初の製品出荷は2002年末の予定で,2003年初頭には大量生産を開始する計画だ」(Cray社)

 またCray社は同日,毎秒1000兆回(1ペタFLOPS)の演算を連続的に処理可能なシステムを2010年までに実現するという方針も明らかにした。

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