「企業の79%が2003年までにWebサービスを導入する予定である」,などとする調査結果を,Webサービス関連のインフラ・ソフトウエア・プロバイダである米Systinetが米国時間11月4日に発表した。
調査はSystinet社が,米国のソフトウエア関連の業界団体Software & Information Industry Association(SIIA)および米IDGのComputerworldと共同で実施した。ITプロフェッショナルや企業ユーザー779人から回答を得た。
Webサービスが「自社の今後の成功に不可欠である」とする回答者は77%以上に達した。また,Webサービスによって「自社ビジネスがすぐに何らかの恩恵を享受できる」と考える回答者も74%にのぼった。
業界の一部では,Webサービスはまだ実用の域に達しておらず,広く普及するまで何年もかかるだろうと予測されていた。企業はたしかにセキュリティや性能などに若干の不安を感じている。しかし,Webサービスの技術がミッション・クリティカルなアプリケーションでの使用に耐えうるまでに成熟したという認識が広まっており,企業はWebサービスの導入を積極的に検討している。
Systinet社創立者兼CEOのRoman Stanek氏は,「長期的にみた場合,WebサービスがIT分野に大きな影響を及ぼすことは明らかだ。今回の調査から,現在の技術レベルでも十分に実用価値があることがわかった。たとえば,SOAPベースの統合やアプリケーションのSOAP対応化において,とりわけ利用価値が高い。多くの企業はWebサービスに信頼を寄せるようになっており,社内で早速利用してみたいと考えているようだ」と説明した。さらにStanek氏は,「Webサービスは転換期にさしかかっており,開発者はより洗練されたミッション・クリティカルなアプリケーションにWebサービスを導入しつつある」とつけ加えた。
Webサービスは現在,既存のアプリケーションのSOAP対応化や社内アプリケーションの統合などに利用される場合が多い。しかし今後12カ月間に,Webサービスの利用は“ファイアウォールの外へ”と移行して,企業間やサードパーティとの高度なアプリケーション統合に活用されるようになる。
Webサービスに対する懸念として最も多いのは,「セキュリティ」「信頼性」「管理と監視」である。Webサービスを導入する際の課題として,回答者の90%以上がこれら3点を挙げている。一方で,「今後12カ月間にWebサービスが社内のITインフラで重要な役割を果たすようになる」とみる回答者は58%に達した。
今後12カ月間にWebサービスを導入する可能性が最も高いのは,独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)と500人以上の従業員を抱える大企業である。
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