米Palmが米国時間10月28日,企業向けPDA「Palm Tungsten T」と「同W」を発表した。Palm Tungsten Tは手書文字認識技術「Graffiti」に対応し,同Wは通話機能を備える。

 Palm社は9月23日に,Palmのサブブランドとして個人ユーザー向けの「Zire」と企業ユーザー向け「Tungsten」の名称を明らかにしていた。10月18日には,「Palm Zire」を発表している。

 Palm Tungsten Tは,16MBのRAM(実質的な記録可能容量は14MB),解像度320×320ピクセルのカラー・ディスプレイを搭載する。リチウム・イオン電池を使用。Bluetoothをサポートしており,Bluetooth対応プリンタやパソコン,ハンドヘルド機と無線接続できる。米Microsoftの「Excel」「PowerPoint」「Word」などのフォーマットに対応する。

 上下左右および選択を操作できる5ウエイ・ボタンやワンタッチの録音機能を備える。Palm社の従来のPIMアプリケーション「Date Book」「Address Book」「Note Pad」「To Do List」などは,5ウエイ・ボタン対応にアップデート済みである。本体を上下にスライドさせると,手書き入力を行う「スライダ」部分が現れる。

 OSは「Palm OS 5」,プロセサは米Texas Instrumentsの「OMAP1510」。「データ容量の大きいドキュメントでも速く動き,新しいフォントにより表示も向上した」(Palm社)。ショート・ビデオ・クリップやデジタル・オーディオ・ファイルの再生,写真の表示,インタラクティブ・ゲームといったマルチメディア機能も装備する。

 Palm Tungsten WはGSM/GPRSネットワーク対応の通話機能を備え,電子メールやWWWコンテンツへのアクセスも可能。Address Bookから簡単にダイヤルできる「Quick Connect」機能のほか,短縮ダイヤル,発信者番号表示,5人対応の会議通話,通話履歴といった機能を備える。1回の充電による最大通話時間は10時間。

 OSは「Palm OS 4.1.1」,プロセサは米Motorolaの「Dragonball VZ 33mHz」。解像度320×320ピクセルのカラー・ディスプレイ,5ウエイ・ボタンを装備。リチウム・イオン電池を使用する。POPおよびIMAPアカウントに対応した電子メール・ソフトウエア「Palm VersaMail」が付属する。電子メールの送受信をはじめ,HTML形式の添付ファイルやWordテキストを表示できる。また,「Outlook」「Outlook Express」「Lotus Notes 5.0」「Eudora」などと電子メール・データの同期化が可能。

 米国での希望小売価格はPalm Tungsten Tが499ドル,同Wが549ドル。Palm Tungsten Tは,Palm社のオンライン・ストアPalm Storeで購入可能。Palm Tungsten Wは2003年第1四半期に出荷する予定。両製品とも「Palm Expansion Slot for SD Cards, SDIO and MultiMediaCard」や「Palm Universal Connector」などの拡張製品を利用して,ソフトウエアやメモリーを追加したり,キーボードやGPS受信機を接続することができる。ちなみにPalm社はフルサイズの折り畳み式キーボード「Palm Ultra-Thin Keyboard」を同日発表している。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]