「ここ数年急成長を遂げた世界のPDA市場は,2001年にかなり成長のペースを落とした。この傾向は2002年も続くことが予測される」。米GartnerのDataquestが米国時間4月3日に世界のPDA市場に関する調査結果を発表した。

 2001年の出荷台数は前年比18%の1311万台だった。2002年も同18%増となる見通しで台数は1548万台,2003年は26%増の1951万台に拡大すると予測している。

 同市場は,2002年前半に継続する経済低迷の影響を受けるが,後半には持ち直すと見られる。2003年には,経済回復に伴い企業の購入数が増加し,さらに成長を強めると予測される。

 「2001年における購入数の4分の3は個人によるものだった。しかし,これらデバイスの機能性の向上と無線技術の成長により,大規模企業の購入が増加し始めている。これは無線電子メールまたはリモートからの企業データベースへのアクセスなどのアプリケーションにより,生産性の向上が認識されるようになったためだ」(同社アナリストのTodd Kort氏)

 なお,2004年以降について,Kart氏は米Wall Street Jounalに対し,「2004年は20%増,2005年は16%増と再び鈍化する。主に,高性能携帯電話機との競合が激化するため」と説明している。ただし,PDAも普及モデルから高性能モデルへの移行が進むため,売上高ベースでは,成長率を維持する。

 同市場は,カラー・ディスプレイ,より強力なプロセッサ,より容量が大きいストレージを持つデバイスへと移行しており,同社はエンドユーザーの出費が2001年の38億ドルから2002年には20%増の46億ドルになると予測している。さらに,大部分のハンドヘルド・コンピュータにBluetooth,WLAN,WANなどの無線技術がビルトインまたはアドオンとして追加されるという。

 また,業界内での競争に関しては,同年後半に「Palm OS 5」のライセンス取得者が製品ラインをより強力なARMベースのプロセッサに移行させるため,「Microsoft Pocket PC」のライセンス取得者との競争激化が予想される。

 同時に,GPRSとCDMA 1xのようなデータ・ネットワークが無線データ・デバイスの注目を集め,PDAとスマートフォンの間で競争が激しくなる。同社は,2002年末期または2003年初旬までPDAの出荷台数がスマートフォンに超されるることはない,と予測している。2003年においてPDAは大きく成長するが,2004年以降PDAの販売台数はスマートフォンとの競争によって大きく影響を受けるようになるという。

 また,PDAベンダ数の増加とともにハンドヘルド・デバイスの多様性が需要を刺激する。日本のベンダが,弱い円を強みに価格低下に影響を与えれば,特にハイエンドの市場においてかなりの価格低下もあり得るため,さらに需要を刺激することが予想される。

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