「企業が1年間に負担するPDAの総所有コスト(TCO)は約2500ドルで,ノート・パソコンの4分の1だ」。米Technology Marketing(TMC)が米国時間8月21日に,ハンドヘルド機器のTCOに関する調査結果を発表した。TCOにはサポート,ネットワーク接続,交換部品,トレーニング,必要なソフトウエアなどが含まれている。
TMC副社長兼Group Editorial DirectorのMarc Robins氏は,「携帯機器用インフラ・ソフトウエアを集約管理し,ポリシー管理や自動修復ツールを強化すれば,PDAのTCOをさらに削減することができる」と述べている。
業界の調査企業の調べによると,2005年末までに会社員が利用するハンドヘルド機器の台数は100億台近くにのぼるという。ハンドヘルド機によって処理できる業務はスケジューリングや電子メールだけに留まらない。常時どこからでも企業ネットワークやアプリケーションに安全に接続したり,位置情報サービスなどの無線接続ソリューションを利用できるのだ。
企業幹部らは,ハンドヘルド機器を取り入れた企業コンピューティングや携帯ソリューションの利点と投資回収率(ROI)の高さにやっと気づき始めたところだ。TMC社長のRich Tehrani氏は,企業におけるPDA利用の対応が遅れていると指摘する。「従業員が多種多様なハンドヘルド製品の中から選んだPDAにいったん慣れると,会社の都合で他の機種に変えることはしたがらない。企業がハンドヘルド機器のコンピューティング戦略を立てるのが遅れるほど,面倒なことになる」(同氏)
最も厄介なのは,まだハンドヘルド・コンピューティング戦略を立てていない企業だろう。ハンドヘルド機器はパソコンとは異なり,企業でボトムアップ式に普及しているため,会社が従業員の利用しているデバイスをサポートする必要があると気づいた時には問題が生じている。さまざまなメーカーの機種を利用している上,Secure DigitalやPCカード,Memory Stickなど,拡張スロットやストレージの種類も異なるからだ。
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