米GartnerのDataquestが米国時間8月5日に,2002年第2四半期における世界の携帯情報端末(PDA)市場に関して調査した結果を発表した。売上高は,前年同期の8億8900万ドルから1.5%増の9億200万ドル。出荷台数は前年同期の280万台から3.5%減の270万台だった。

 米Compaq Coputerとの合併を果たした米HP(Hewlett-Packard)は,売上高ベースで米Palmをわずかに上回り,首位の座を奪った。

 Dataquest社主席アナリストのTodd Kort氏は,「Palm社とHP社は当期,新モデルを量産出荷しなかった。『Jornada』と『iPAQ』の出荷台数が前年同期より減少した要因は,景気低迷,高額な製品価格,製品機種の乏しさだ。顧客が米Intelのマイクロアーキテクチャ『XScale』に対応した新しい『Pocket PC』の発売を待ったことも販売を鈍化させた」と分析する。

■表1
2002年第2四半期における世界PDAメーカーの売上高速報(単位:100万ドル)

               2002年Q2   2002年Q2    2001年Q2   20012年Q2 
               売上高   市場シェア    売上高    市場シェア   成長率
メーカー                   (%)                  (%)      (%)
HP              220.1       24.4       317.7        25.8         -31
Palm            217.0       24.1       229.6        35.8          -5
ソニー           87.4        9.7        16.7         1.9         423
東芝             43.9        4.9          NA          NA          NA
Handspring       40.3        4.5        70.8         8.0         -43
その他         292.8       32.4       253.7        28.5          15
合計        901.6      100.0       888.5       100.0         1.5

注:京セラの「Kyocera 6035」,韓国Samsungの「Samsung I-300」,
米Handspringの「Treo 180」などのスマートフォンは含まず。
出典:Dataquest社(2002年8月)

 Palm社は当期,HP社の2倍近くの製品を出荷し,出荷台数ベースで首位を維持した。出荷台数ベースのシェアはPalm社が30.3%,2位のHP社は16.0%だった。なお,両メーカーの出荷台数は前年同期より大幅に減少した。

■表2
2002年第2四半期における世界PDAメーカーの出荷台数速報(単位:台)

               2002年Q2   2002年Q2    2001年Q2    20012年Q2 
               出荷台数  市場シェア  出荷台数    市場シェア   成長率
メーカー                   (%)                  (%)      (%)
Palm            818,800      30.3      900,429       32.1        -9
HP              431,650      16.0      628,843       22.4       -31
ソニー          277,315      10.2       61,870        2.2       348
Handspring      212,000       7.8      301,356       10.7       -30
東芝            105,798       3.9           NA         NA        NA
その他          860,518      31.8      911,922       32.5        -6
合計          2,706,081     100.0    2,804,420      100.0      -3.5

注:京セラのKyocera 6035,Samsung社のSamsung I-300,
Handspring社のTreo 180などのスマートフォンは含まず。
出典:Dataquest社(2002年8月)

 米国では,Palm社は40%以上の市場シェアを獲得し,続くソニー,HP社,Handspring社を大きく引き離してトップの座を守った。

■表3
2002年第2四半期における米国PDAメーカーの出荷台数速報(単位:台)       
                                        
               2002年Q2   2002年Q2    2001年Q2    20012年Q2 
               出荷台数  市場シェア  出荷台数    市場シェア   成長率
メーカー                   (%)                  (%)      (%)
Palm            525,000     40.5       509,000      40.0          3
ソニー          170,000     13.1        20,000       1.6        750
HP              162,000     12.5       310,341      24.4        -48
Handspring      153,000     11.8       220,000      17.3        -30
東芝             68,697      5.3            NA        NA         NA
その他          217,136     16.8       213,500      16.8          2
合計      1,295,833    100.0     1,272,841     100.0        1.8

注:京セラのKyocera 6035,Samsung社のSamsung I-300,
Handspring社のTreo 180などのスマートフォンは含まず。
出典:Dataquest社(2002年8月)

 PDAのOSは前年とほとんど変化が見られなかった。当期におけるPalm OS搭載機の出荷台数は約135万台で,世界PDA市場の50%を占めた。米Microsoftの「Windows CE」搭載機のシェアは,前年同期比2.6ポイント増の28%だった。メーカー独自のOSを搭載するPDAは,特にアジア市場で人気があり,約20%のシェアを堅持している。

 地域別で見ると,米国市場は世界のPDA市場の48%を占めている。アジア/太平洋地域が約20%,西欧が18%と後を追う。

 Kort氏は,「6月~8月期は通常,PDAの販売が鈍化する。『Palm OS 5』搭載製品の出荷を控え,今夏は特に売上が伸び悩むだろう」と予測する。ただし,「メーカーがコストを見直して製品価格を下げれば,特に景気見通しが改善した場合,年内に消費者の需要が大幅に高まるだろう」(同氏)と述べた。

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