米QUALCOMMが,第3世代(3G)携帯電話機向けチップセット「MSM6100 Mobile Station Modem(MSM)」とシステム・ソフトウエアのサンプル出荷を開始した。QUALCOMM社が米国時間10月9日に明らかにしたもの。出荷は9月30日より行っており,「スケジュール通り」(同社)という。

 「MSM6100チップセットとシステム・ソフトウエアにより,無線機機内でマルチメディア処理用プロセサを別に用意する必要がなくなる。メーカーにとってはシステムのコストを下げる効果がある。消費者には,カメラ内蔵電話機や,ビデオ・プレーヤ/レコーダ,3次元グラフィックスといった高度なマルチメディア機能を提供する」(QUALCOMM社CDMA Technologies部門プレジデントのDon Schrock氏)

 同チップセットとシステム・ソフトウエアは,QUALCOMM社の「Launchpad」技術を使用している。これにより,JPEG圧縮対応デジタル・カメラ,毎秒15フレーム処理可能なMPEG-4ストリーミング・ビデオのデコード機能,MPEG-4エンコード対応ビデオ・カメラを携帯電話機に組み込める。Launchpadは,MP3オーディオのデコード,2次元/3次元グラフィックス処理,「Compact Media Extension」MIDIシンセサイザ,Bluetoothによる無線通信,交換可能なメモリーMultiMediaCard(MMC),液晶ディスプレイ・インタフェースも提供する。

 Launchpadは,位置情報技術「gpsOne」と方位磁石用インタフェース「VectorOne」も備える。「gpsOneは『SnapTrack』技術を採用することで,コンクリートと鉄で覆われているコンベンション・センターやショッピング・モール,ビルの谷間といった悪条件下でも,位置情報の取得が可能」(QUALCOMM社)

 またMSM6100は,「radioOne Zero Intermediate Frequency(ZIF)」アーキテクチャを採用し,32ビットRISCマイクロプロセサ・コア「ARM926EJ-S」を搭載した同社初のMSM製品という。そのほかに,DSPコア「QDSP4000」を2個,NANDフラッシュ・メモリー,SD-RAMを内蔵する

 MSM6100の対応可能な携帯電話方式は3G EIA/TIA Interim Standard 2000(IS-2000)Release Aで,IS-95A/B Release 0との下位互換性もある。

 アプリケーション実行プラットフォームは,「Binary Runtime Environment for Wireless(BREW)」APIに対応する。「BREWapi」ルーチン/プロトコル/ツールを使用することで,携帯電話機メーカーなどはより迅速かつ簡単に無線対応アプリケーションとBREWベースの製品を開発できるという。

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