米Intelは米国時間9月10日に,無線通信機器向けの新技術「Wireless MMX」と「Persistent Storage Manager(PSM)」「Flash Data Integrator(FDI)」を発表した。「Personal Internet Client Architecture(PCA)」ビルディング・ブロックを使用する無線機器やハンドヘルド製品で,高機能な既存パソコン用アプリケーション・コンテンツを利用可能にするものという。

 Wireless MMX技術はマルチメディア向けの命令セット。同社の「XScale」マイクロアーキテクチャ・ベースのプロセサ上で,64ビットのパラレル実行可能なマルチメディア・アーキテクチャを利用可能とする。これにより,従来のMMX技術に精通しているパソコン用アプリケーション開発者は,これまで作成したマルチメディア・ソフトウエアをPCAへ簡単に移植できるという。

 またOSは,WindowsCE .NET 4.1,SymbianOS,Palm OSv.5,米MontaVista SoftwareのLinux,Embedixに対応する。

 Intel社上級副社長兼無線通信&コンピューティング・グループ担当ジェネラル・マネージャのRon Smith氏は,「Wireless MMXを使うことで,デスクトップ・パソコンのようなマルチメディア機能をXScale技術に持ち込める。消費電力を最小限に抑えつつ,アプリケーションの性能を高められる」と説明する。「数10万種類ある『Pentium』ファミリのプロセサ向けのMMXベースのアプリケーションを,PCAに移植することで,高機能な無線機器の開発を加速し,当社のビルディング・ブロックの機能をさらに拡張できる」(同氏)

 Intel社と主なサードパーティは,Wireless MMX命令に最適化したアプリケーションの開発を支援するため,総合的な開発/最適化ツールを提供するという。なおIntel社は同日,Wireless MMX技術に対応したコンパイラ,デバッガ,シミュレータの付属する「XScale Microarchitecture Software Development Tools」のベータ版をリリースした。

 さらに,パソコンのアプリケーションの移植性を高めるため,「VTune Performance Analyzer」および「Integrated Performance Primitives」などの最適化ツールの将来版でも,Wireless MMX命令への対応を予定している。「Intel Personal Internet Client Architecture(PCA) Developer Network」の登録者には,これらのツールを早い段階で提供するという。

 一方PSMとFDIは,同社の多値フラッシュ・メモリー技術「StrataFlash」向けのソフトウエアで,PCAのメモリー・サブシステムに相当する。「execute-in-place(その場で実行)」と呼ぶ処理により,フラッシュ・メモリーに保存されているアプリケーションを直接実行できる。「アプリケーションを機器の主メモリーにコピーしないので,消費電力が少なく,動作を高速化できる上,データを失う恐れもなくせる」(同社)

 PSMおよびFDIはStrataFlashに付属しており,サードパーティの開発者は,Intel PCA Developer Networkのサービスとしてすでに利用可能である。PSM/FDIソフトウエアの最新版は,「PXA」ファミリのプロセサを使用する無線機器向けに最適化してあるという。

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