「2001年9月11日の米同時多発テロ事件からこの1年間,企業のデータ・セキュリティおよび災害対策に不安感を覚える」。米IDGのComputerworldが米国時間9月5日に,企業のセキュリティおよび災害復旧向けIT支出に関する調査結果を発表した。

 調査は,Computerworld.comを訪れた2600人以上のIT専門家と管理者を対象にオンラインで行った。それによると,「全国的に企業のIT部門ではセキュリティ対策や災害への準備が最も重要と考えているが,多くの企業は必要なリソースを割り当てていない」という。

 ITセキュリティに対する懸念が強調されているにも関わらず,企業の41%は災害対策/復旧業務を改善する目的の新たなITプロジェクトを実行していない。さらに,「過去12カ月のあいだ,自社のセキュリティおよび災害対策向け予算は増加していない」という回答者は53%だった。

 「気がかりなことは,これほど多くの企業が重要データを保護する予算を増額せず,災害後の業務継続に必要な対策をほとんど実施していないことだ。CEO達は“セキュリティが1番の問題”と口にする。しかし,必要なリソースが欠如しており,“口ばかりで行動が伴っていない”」(Computerworld誌編集長のMaryfran Johnson氏)

 一方,セキュリティ/障害対策に対するIT支出を増額した企業の大部分は,これまでのIT予算のなかから必要な経費を何とか確保したという。

 セキュリティ関連のうち支出の多い分野は以下の通り。

(1)データ・セキュリティ:26%
(2)データ・バックアップ:25%
(3)インターネット・セキュリティ:20%
(4)物理的なセキュリティ:19%
(5)ウイルス検出ソフトウエア:16%

 最も支出が少なかった分野は,バイオメトリクス(2.4%)と認証技術(10%)であった。また企業の53%は,従業員保護の強化を目的としたIT業務と物理的セキュリティの統合に取り組んでいない。

 なお調査結果の詳細は,9月9日版のComputerworld誌とComputerworld.comに掲載する。

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