米同時多発テロ以降,米国民のあいだで航空機搭乗時における顔認識技術の導入に対する要望が高まっている。顔認識のソフトウエア技術を手がける米Visionicsが米国時間10月12日に,米Harris Interactiveが行ったアンケート調査の結果を明らかにした。86%の回答者が,テロリスト発見のために顔認識技術を使うことを支持したという。

 「これまで我々は武器や爆発物といったものを調べていた。しかしこれからはテロリストの顔そのものを探すことができる」(Visionics社CEO兼会長のJoseph Atick氏)。

 同社の手がける顔認識技術では,犯罪者やテロリストの顔の特徴をもとに固有のコードを生成し,その情報をあらかじめシステムに登録しておく。乗客が航空機搭乗の際に,乗客の顔をビデオ撮影し同様にして固有のコードを生成する。これらを照合し,もしコードが一致していればアラームが鳴るという仕組みである。

 情報が一致しなかった場合は乗客のデータを保存しない。「顔認識技術は人権を侵害することなくセキュリティを高めることができる。今回のアンケート結果で,この技術への国民の関心の高まりが示された」と同氏は説明する。

 このアンケート調査は9月19~24日に1012人の成人を対象に電話で行われた。10月11日付けのPhiladelphia Inquirer紙に掲載されており,philly.comのサイトでも閲覧できる。

 なお「FaceIt」と呼ぶ同社の顔認識ソフトウエア技術は,すでにフロリダ州タンパや英国,アイスランドなどの自治体や空港で採用されている。

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