ソニーがWindows対応の指紋認識装置「FIU-700」を米国時間5月19日に発表した。クレジットカード大の大きさである。USBインタフェースを使ってパソコンとつなぐ。電子商取引や医療関係など,高いセキュリティが必要とされる用途をねらう。

 指紋認識と公開鍵暗号を組み合わせることでセキュリティ機能を高める。FIU-700は,センサで指紋を読みとり,装置内部でパターン・マッチングを行う。マッチングが済んだ後に,認証を行うために1024ビットの暗号鍵を生成する。この過程を終了するまで,パソコンにはデータを送らない仕組みになっている。「コンピュータやネットワークのハッキングに強い」(ソニー)としている。

 FIU-700は,本体内部に1Mバイトのフラッシュ・メモリを内蔵し,指紋情報と暗号鍵,パスワードなどのデータを格納している。Windows 98とWindows 2000に対応する。重量は35g。外形寸法は85.6×54×9mmである。電力はUSBを介して供給する。

 ソニーは,米Entrust Technologiesや米I/O Softwareとアプリケーション・ソフトウエアの開発で協力体制を敷いていることも明らかにした。I/O Software社は5月はじめに,Windowsの将来版にバイオメトリクス認証技術を組み込むことで米Microsoftと提携したベンダである。Microsoft社に「Biometric API(BAPI)」と「SecureSuite」技術を供与した(詳細は「MicrosoftとI/O Softwareが生体情報使う認証で提携,将来版Windowsに搭載へ」を参照されたい)。

 なおMicrosoft社の会長兼CSA(Chief Software Architect)であるBill Gates氏は,今月初旬の「NetWorld+Interop」でコンピュータ・セキュリティに向けたMicrosoft社の姿勢を明らかにした。このなかで,スマート・カード,暗号化されたコミュニケーション,ファイアウォール,バイオメトリックスなどの技術について語るとともに,スマート・カードやバイオメトリックスを利用する際のコストを低減すべきだと訴えた(「Microsoft,スマート・カードやバイオメトリクスなどのセキュリティ技術に注力 」)。

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