米Frost & Sullivanが米国時間7月17日に,世界の生体認証(バイオメトリクス認証)市場に関する調査結果を発表した。それによると,市場は2000年の6600万ドルから,2006年には9億ドル規模に達するという。
市場成長の背景には,各国政府機関の個人情報保護に関する取り組みがある。政府機関は,健康保険記録の機密性を保証する法規制といったプライバシに関する厳密な法律を定め,企業に個人情報の保護を義務づける意向だ。
プライバシ保護の要求が高まるとともに,生体認証市場は大きく成長するとみられる。生体認証は,身体的特徴によって自動的に個人を認証または確認する技術。指紋,手のかたち,虹彩,音声,顔,網膜認証などがある。
「新たな標準規格が登場すれば,長いあいだ業界の成長を妨げていた障害が取り除かれる。かつて互換性に問題のあった生体認証業界は共通プラットフォームへの協力に乗り出し,合意に達している」(Frost & Sullivan社アナリストのPrianka Chopra氏)。
最近,生体認証のAPI「Biometric API(BioAPI)」が公開された。これにより,アプリケーション間の通信やデータ交換が容易になる。
しかし,「まだ取り組むべきことが残っている」とFrost & Sullivan社は指摘する。例えば,PKIやスマート・カードのメーカーは,自社の技術と生体認証を統合する必要がある。
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