米In-Stat/MDRは米国時間7月29日に,家庭向けゲートウエイ・ソフトウエア市場に関する調査結果を発表した。それによると,同市場は新たな収入源を模索するサービス・プロバイダに後押しされ,2001年の120万ドル規模から2006年には1億1000万ドル規模へと急拡大するという。広帯域接続に伴うセキュリティ,家庭内ネットワーキング,エンタテインメント,音声,ホーム・オートメーションの需要が市場をけん引する。

 In-Stat/MDR社が定義するゲートウエイ・ソフトウエアには,OS,ミドルウエア,アプリケーションなど,ゲートウエイ関連のさまざまなソフトウエアが含まれる。

 2001年に,家庭向けゲートウエイ・ソフトウエア市場の売上高の大半を占めたのは,ネットワーク・プロトコル・スタックを含む組み込みOSだった。しかし今後は徐々に,ミドルウエアやアプリケーションに対する需要が高まる見通しだ。

 In-Stat/MDR社は,この需要の変化の理由として,より高度な機能性を備えた堅牢な家庭向けゲートウエイの登場と,既存デバイスにソフトウエアを導入して,新しいサービスの提供を試みるサービス・プロバイダの増加をあげている。

 「業界標準が目まぐるしく変わっているほか,サービス・プロバイダの管理ネットワーク内では,アップグレードやエラー診断を絶えず必要としている。またモデムから,より高度なサービスを提供できるゲートウエイへの移行が進んでおり,ソフトウエアがシステム設計で果たす役割はますます重要になるだろう」と,In-Stat/MDR社アナリストの Jaclynn Bumback氏は予測する。

 また,「消費者向け広帯域サービス市場で,パソコン・メーカーと家電メーカーの覇権争いが激化するにつれ,家庭内の異機種デバイスをつなぐゲートウエイ・ソフトウエアは,戦略的に重要な意味を持つようになる」(Bumback氏)という。

 このほかの調査結果は以下の通り。

・ソフトウエア・ベンダーは,一つのOSや一つのミドルウエア向けソフトウエアに特化する代わりに,個別のサービス・プロバイダ,CATV統括運営会社(MSO),電気通信事業者のニーズに対応するカスタマイズ・ソリューションを提供している。

・家庭向けゲートウエイOSの売上高の大部分を占めたのは,米Wind Riverの「VxWorks」や,米Globespan-Virataの「Integrated Software on Silicon(ISOS)」など,ベンダー独自のOSである。これらOSは,Linuxベースの無料のOSより初期費用がかかるが,開発者はアプリケーション・コードを変更しても公開する義務がない。

・現在,家庭向けゲートウエイ市場では,Windowsベースの組み込みOSはまだ普及していない。しかし,米Microsoftが自社ブランドのネットワーキング・ハードウエアのマーケティングを開始すれば,より大きなシェアを獲得することが予測される。

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