米Sun Microsystemsが米国時間10月11日に,組み込み用途向けJavaサーバ・ソフトの新版「Java Embedded Server(JES)2.0」をリリースしたことを明らかにした。家庭内ネットワークのゲートウエイ,いわゆるレジデシアル・ゲートウエイ(residential gateway)機器に向ける。

 開発キットを無償で提供する。Java向け統合開発環境「Forte for Java Community Edition」のカスタマイズ版に「JES 2.0」をバンドルする。

 「JES 2.0」は,業界団体Open Services Gateway Initiative(OSGi)が定めたホーム・ゲートウエイの標準仕様に準拠する。OSGiは家庭内ネットワークとインターネットや放送などの外部ネットワークをつなぐゲートウエイ製品の仕様策定を進める業界団体である。Sun社,米IBM,米Oracleなど15社が1999年3月に立ち上げた。現在参加企業は75社に拡大している。

 Sun社は,JES 2.0を「JES Management and Provisioning Pack」にも対応させる予定で,リリースは2001年前半となる。「iPlanet Web Server」,「iPlanet Directory Server」と管理ソフトを連携し,ゲートウエイ機器の保守・集中管理を可能にする。サービス・プロバイダ向けに次世代サービス管理システムのインフラとして提供する。

 Sun社は同日,ホーム・ゲートウエイ製品を手掛ける米ServGate TechnologiesにJES 2.0のライセンスを供与したことも明らかにした。また制御システム大手の英Invensys子会社のInvensys Control Systemsとも,「スマート・ホーム」に向けたインフラ製品の開発と販売で提携関係に入ったと発表した。

 Invensys社のホーム・ゲートウエイ「ControlServer」にJES 2.0を組み込んだ「ControlServer2」を開発する。遠隔監視,照明機器の制御,セキュリティ,火災警報器といったサービスの提供に向ける。リリースは2001年第3四半期の予定。Invensys社が10月11日から14日までラスベガスで開催する展示会「Driving Business Performance」や,2001年1月6日から9日までラスベガスで開催される民生機器の展示会「Consumer Electronics Show」でデモンストレーションを行う予定である。

 住宅向け技術/サービスのコンサルティングを手掛ける米Parks Associatesの報告によれば,米国における家庭内ネットワーク向けゲートウエイ市場は,2005年までに出荷台数ベースでおよそ2500万台に達し,売上高ベースでは50億ドル規模に成長するという。また,米Cahners In-Statも「家庭内ネットワーク機器やゲートウエイ製品の世界市場は,2000年の6億ドル超から2004年までに57億ドルを超える規模へ成長する」との調査結果を発表している。

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[Sunの発表資料1]
[Sunの発表資料2]
[Servgateの発表資料]