米IBMは金融サービス業界向けのLinuxセンター「Linux Center of Competence(Linux CoC)」をニューヨーク州ニューヨークシティに開設することを米国時間6月20日,明らかにした。

 IBM社のビル内に設けるLinux CoCでは,IBM社だけでなくさまざまな参加企業のハードウエア,ソフトウエア,サービスを揃え,「金融サービス企業におけるLinuxアプリケーションのテストや実装を支援する」(IBM社)。IBM社は同センターに100万ドル以上を投資する。

 金融業界の顧客はLinux CoCで,IBM社のハードウエア,ソフトウエア,サービスを利用し,Linux対応の主要アプリケーションをテストするほか,技術アドバイスを受けたり,Linux関連のトレーニング・コースや教育プログラム,コミュニティ・イベントなどに参加することが可能。主要なISV(独立系ソフトウエア・ベンダー),Linuxディストリビュータ,事業パートナと実践環境で作業することができる。

 Linux CoCで提供する主な内容は以下の通り。

・サーバー機「eServer」。米Intel製プロセサ搭載の「xSeries」,Linux搭載クラスタ・サーバー,Linux搭載のメインフレーム「zSeries」などを含む。

・ストレージ製品「TotalStorage」ファミリ。「Enterprise Storage Server(開発コード名は「Shark」)」,「FAStT」,NAS(Network Attached Storage),テープ・ストレージ製品などを含む。

・ビジネス・プロセスの合理化を狙った統合ソフトウエア。インフラ・ソフトウエア「WebSphere」,データベース・ソフトウエア「DB2」,「Lotus Domino」および「Tivoli」ソフトウエアなど。

・IBM Global Services部門による技術支援。移植作業,ベンチマーク・テスト,コンセプトの検証などを対象とする。

・トレーニング・コース。基本トレーニングから「LPI」および「Red Hat」認定プログラムまで幅広いコースを用意する。

 Linux CoCでは,Javaベースのオープン・ソース・ソフトウエア「Eclipse」への対応も進める。IBM社はEclipse対応の「WebSphere Studio」ツールを開発し,同センターで利用可能にする予定である。

 なお,米SunGard,米J.D. Edwards,米VERITAS Software,米Sybase,ドイツのSuSE Linuxなどの参加企業が,Linux CoCに技術やサポートを提供する。

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