米IBMが米国時間4月23日に,WWWサイト向けアプリケーション開発ツール「WebSphere Studio」の新製品と,無線/ポータル/音声アプリケーション向けツール・キットを発表した。

 これらの製品はJavaベースのオープン・ソース・ソフトウエア「Eclipse」をベースとしている。Eclipseとは,複数ベンダーのツール統合を図るプラットフォームである。「Eclipseベースのツールを使うことで,業務を簡単かつ迅速に統合し,アプリケーションの品質改善と,製品化の期間短縮を図れる」(IBM社)。なお同社は,Eclipseを管理するコミュニティに対し,ソフトウエアを寄付することを2001年11月に発表している。

 WebSphere StudioはJ2EE仕様に準拠しており,Java,JSP,HTML,DHTML,XML,VoiceXMLや,Webサービス向けのSOAP,UDDI,WSDLに対応する。「チュートリアルやオンライン・ヘルプが充実しているので,習得が容易だ」(同社)

 同社が今回発表した製品は以下の通り。

・「WebSphere Studio Application Developer for Linux, V4.0.3」:業務アプリケーションの構築/試験/導入/維持に向けた標準規格ベースのツールであるWebSphere Studio Application DeveloperをLinuxに対応させた。米Red HatおよびドイツSuSEによるLinuxディストリビューションのバージョン7.1以降をサポートする。

・「WebSphere Studio Application Developer for Windows, V4.0.3」:米Microsoftの「Windows XP」に対応する。複数言語サポート機能(英語,フランス語,ドイツ語,スペイン語,イタリア語,ブラジル系ポルトガル語,日本語,韓国語,中国語)を追加した。

 WebSphere Studio Application Developer for Windowsと同 for LinuxはWebサービス,Java,J2EE,XML,WWWの統合開発環境。Java,EJB,JSP,XML,Webサービスなどのコンポーネントを一つの開発環境で作成できる。Webサービス向けドキュメント形式のSOAPメッセージに対応したプロキシを生成可能。Linux対応版とWindows対応版バージョン4.0.3はともに出荷を開始している。価格は1シート当り3499ドル。

・「WebSphere Studio Site Developer Advanced for Windows, V4.0.3」:動的なeビジネス向けWWWサイトの作成/管理/維持を行うツール。Java,XML,Webサービス向け開発環境を統合する。すでに利用可能で,価格は1シート当り1999ドル。

 無線/ポータル/音声アプリケーション構築向けツールキットは,WebSphere Studio用のプラグインとして提供する。発表した製品は以下の通り。

・「WebSphere Everyplace Toolkit V 4.1」:HTML,Wireless Markup Language(WML),Compact HTML(CHTML)に対応した無線eビジネス・アプリケーションとポートレットを作成可能。「WebSphere Everyplace Access 4.1」とともに5月にリリースを開始する。

・「WebSphere Portal Toolkit V 4.1」:WWWアプリケーションをポータル・サイトとして構築/試験/導入可能にするツール。「WebSphere Portal 4.1」とともに5月にリリースを開始する。

・「WebSphere Voice Toolkit」:アプリケーションのデバッグを行い,VoiceXMLコードの変更が必要な部分を調べて要求仕様に合わせることができる。VoiceXML 1.0に準拠する。すでに無償で配布している。

 なお同社は先ごろ以下の2種類のWebSphere Studioツールを発表している。

・「WebSphere Studio Application Developer Integration Edition for Windows 4.1」:Webサービスを画面上で組み立て,企業アプリケーションにアクセス可能なアダプタを容易に構築できる。すでに利用可能。価格は1シート当り5999ドル。

・「WebSphere Studio Device Developer, V4.0」:J2MEを使い,eビジネス・アプリケーションを携帯電話機,PDA,ハンドヘルド機器に対応させる。すでに利用可能で,価格は1シート当り499ドル。

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