米政府が気象予測サービス向けに米IBMのスーパーコンピュータを導入する。IBM社が米国時間5月31日に明らかにしたもの。導入が完了すれば,「現在世界で最速とされるスーパーコンピュータを約4倍上まわる速度を実現する」(IBM社)としている。契約期間は9年で金額は2億ドル以上。同社にとって「過去最大規模のスーパーコンピュータ契約」(IBM社)となる。

 マシンはすべてメリーランド州ゲイサースバーグにあるIBM社のe-businessホスティング・センターに置く。超高速ネットワークを介して,処理能力と記録容量を供給する。IBM社はこの供給手法を今回初めて利用する。従来は,ともすればバスケット・コート以上の敷地面積を必要とするスーパーコンピュータを,顧客の敷地に設置していた。

 米政府の環境予測センター(NCEP)はIBM社のスーパーコンピュータにより,精度の高い気象予測の提供を図る。NCEPの気象予測はテレビや新聞の天気予報をはじめ,航空産業や農業,災害対策などに利用される。

 導入作業は今年開始する。クラスタ接続した44台の「eServer p690」サーバー,42Tバイトの記憶容量を持つ「TotalStorage FAStT500 Storage Server」を用いる。第1段階でのピーク速度は7.3TFLOPSだが,「2009年には100TFLOPSを上まわるピーク速度を目指す。人間が計算器を使って8000万年以上かかる数表作成を1秒で処理できる」(IBM社)という。

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