米Intelはシアトルで開催中のMicrosoft Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC 2002)で,「コンピューティング性能および通信機能の集約を推進し,まったく新しい機器を作り出す計画」(Intel社)について米国時間4月18日に説明した。Intel社社長兼COOのPaul Otellini氏が講演で明らかにしたもの。

 Otellini氏は,「将来は,すべてのコンピュータが通信し,すべての通信機器がコンピュータとして機能する」とした上で,「この環境に対応し,ユーザーの使い勝手を改善するには,性能,通信,より安全なプラットフォームに向けた革新的な技術を集中させなければならない」と説明した。Intel社は最終的な目標として,「すべての人々が,いつでも,世界のどこでもコンピューティングを利用可能とする」ことを挙げている。

 また,Otellini氏は,「Banias」(開発コード名)と「Hyper-Threading Technology」のデモンストレーションを行った。

 Baniasは主に,ノート・パソコン用マイクロ・プロセサのCPUコアに向けた技術である。「モバイル市場専用に設計したシステムであり,最適化したIEEE 802.11無線技術を備える形で出荷する」(同社)。なおBaniasの市場投入は,2003年前半を予定する。

 Hyper-Threading Technologyはプロセサの命令をスレッドレベルで並列処理する技術で,一つのプロセサを論理的に二つのプロセサとして扱うもの。「写真の表示,文書の印刷,Webの閲覧,ウィルス・スキャンなどの複雑で繰り返し行う作業を,同時に実行する際のパフォーマンスを改善できる」(同社)。Hyper-Threading Technologyは現在「Intel Xeon」ベースのサーバーが採用し,すでに出荷されている。デスクトップ・パソコンでは,2003年の採用を予定している。

 さらにOtellini氏は,「システムに対するソフトウエア・ベースの攻撃が増えていることから,企業向けの高度な防御機能を構築するには特別なセキュリティ機能を備えたより堅牢なハードウエアが欠かせない」と説明した。

 「この種の分野には,専用のコンピュータを設計しようという需要が存在する。2006年までに世界パソコン市場全体の約40%を占めるまでになるだろう」(同氏)

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