Palm機に使われる手書き文字認識技術「Graffiti」を巡って米Xeroxと米Palm/米3Comが争っている訴訟で,ニューヨーク州ロチェスターの連邦地裁は米国時間2月22日,Palm OS機(Palm Powered handhelds)の販売差し止めを求めるXerox社の訴えを退ける判断を下した。Palm社とXerox社が2月25日に明らかにしたもの。

 Xerox社は米国におけるPalm OS機の販売停止と,Xerox社の損害金額を決定するための公判日の決定を求めていたが,裁判所はこのいずれも退けた。後者は「時期尚早」というのが理由。

 なおPalm社はこれについて,「我々は積極的に控訴していくつもり。我々は見解を裏付ける論拠をもっている」(Palm社会長兼CEOのEric Benhamou氏)としている。「人々は数千年ものあいだ手書き記号を生み出してきた。Xerox社がアルファベットを所有しているわけではない」(同氏)

 なお同連邦地裁はこの判決と同時に,5000万ドルを裁判所に供託するようPalm社/3Com社に命じた。これは,控訴審が行われているあいだのXerox社が被る損害額となる。控訴審でXerox社が勝訴した場合にXerox社が受け取る。ただし「この期間におけるXerox社の損害額に過ぎず,Xerox社がこれまで被ったすべてをカバーするものではない」(Xerox社)という。

 この訴訟は1997年4月にXerox社が,後に米3Comに買収される米U.S. Roboticsを提訴したことに端を発している。Xerox社は,Palm機に使われている手書き文字認識技術がXerox社が1997年1月21日に取得した特許を侵害していると主張していた。問題となっているのは「“Unistrokes"という商標で知られる,Xerox社のPalo Alto Research Center(PARC)で開発された技術」(Xerox社)。

 その後2000年6月に連邦地裁が,「Palm社のソフトエアはXerox社のソフトウエアとは異なる認識パターンを使用している」などとしてXerox社の訴えを退けていたが,2001年10月8日に,巡回連邦高裁が下級審の判決を覆す判断を下し,連邦地裁に差し戻されていた。

 なおXerox社が問題としている特許のタイトルは,「Unistrokes for computerized interpretation of handwriting」。米国特許番号は「5,596,656」。申請日は1995年10月26日。16のクレームから成る。

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[Palm社の発表資料]
[Xerox社発表資料]