広帯域無線通信ソリューション・プロバイダの米Tantivy Communicationsが米国時間12月10日に,世界のモバイル・デバイス向け無線サービス市場に関する調査結果を発表した。2005年には,専門職に就く人とテレワーカーの90%が無線接続を行うようになる。これにより,歩行速度での移動時に,下りが300Kbps程度の接続速度を提供する無線対応携帯用デバイスの需要が拡大する。

 調査は米Gartner Consultingの依頼を受けて実施したもの。

 インターネット・ユーザーは今後3~5年の間に,さまざまな無線対応デバイスを利用しはじめる。職場ユーザーの間では,無線モデム(56%),携帯電話機(51%),PDA(50%),ノート・パソコン(43%)に対する関心が高い。一方家庭ユーザーは,ノート・パソコン(35%),携帯電話機(33%),無線モデム(32%)を含む各種装置を使ったインターネット・アクセスを検討中だ。

 また職場ユーザーの3分の2と家庭ユーザーの約半数が,無線対応モバイル・デバイスを利用したインターネット・アクセスに強い関心を示している。ユーザーが期待する接続速度は,下りが365Kbpsで上りが222Kbps。

 「ノート・パソコンやPDAなどのハンドヘルド機が,性能の向上にともないデスクトップ・パソコンを抜きつつある。ハンドヘルド機への移行が進むにつれ,Tantivy社が提供するI-CDMA(インターネットCDMA)技術など,無線広帯域接続サービス市場が急速に拡大するだろう」(Gartner Consulting社のBehram Dalal氏)。

 I-CDMAはIPベースの3G技術。同技術によりユーザー1人当たり,下りで365Kbps~1.7Mbps,上りで222Kbpsの無線接続が可能になる。また周波数の利用効率に優れ,1.25MHz帯では,2.5Gのネットワーク技術の約10倍に相当する1000人まで対応できる。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・北米以外では,家庭において無線接続が有線接続に取って代わりつつある。また広帯域接続の需要も増加している。このため,世界で7億人以上いる有線ユーザーが,広帯域無線接続サービス市場の潜在ユーザーと考えられる。

・職場ユーザーの半数が高速接続を行っている。今後5年間に,企業分野におけるインターネットの普及率が80%に達し,インターネットの高速無線接続に対する需要も急速に成長する。

・職場ユーザーの大半は,デスクトップ・パソコンとノート・パソコンを使ってインターネットに接続している。しかし携帯電話機(29%)とPDA(15%)を使ったアクセスも増加傾向にある。

・現在,家庭ユーザーの83%がダイヤルアップ・モデムを使ってインターネットに接続している。しかし今後5年間に,ユーザーの65%がより高速な接続方法や無線接続に変更する予定であり,ケーブル・モデム(23%),DSL(13%),無線(22%)などを検討中である。

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