米GartnerのDataquestが米国時間12月3日に,世界のITサービス市場に関して調査した結果を発表した。それによると,2001年における世界のITサービス収入は5540億ドルとなる見通しで,2000年の5170億ドルと比べて7.1%増加する。また,2005年には8650億ドルに達する見込みだという。

 経済の低迷やテロ事件などの影響により,2002年の市場は多くの分野および地域で1桁成長にとどまる。しかし2003年から2005年にかけて,全体的に需要が大きく回復する。

 地域別でみた場合,北米がITサービス業界の首位を維持する。2001年における同地域の売上高は2710億ドルで,2005年には4230億ドルに達する。

 西欧における2001年の売上高は1490億ドルの見込み。2005年の売上高は2290億ドルで,世界第2位を維持する。日本の市場規模は2001年の約650億ドルから,2005年には860億ドルに成長する。アジア太平洋地域は最も急速に成長し,2001年の310億ドルから2005年には600億ドルに拡大する。

 ITサービス業界の最大分野は開発および統合で,2005年までこの傾向が続く。2000年におけるこの分野の売上高は1560億ドルだったが,2005年には2635億ドルを創出する見込みだ。ビジネス・プロセスおよびトランザクション管理(BPTM:business process and transaction management)が2000年の2位分野で,今後最も急速に成長するとみられる。企業が非中枢事業のトランザクション処理を社外のサプライヤに委託し,コスト削減を図るためである。BPTMの2000年における売上高は748億ドルだったが,2005年には1452億ドルにのぼると予測する。

 経済的および政治的不透明感の影響を最も受ける分野はコンサルティングである。しかし,「Windows XP」の登場,CRMやSCMおよび電子商取引ソリューションの需要向上,Webサービス・ソフトウエアの普及などにより2003年に成長を始める。2000年の売上高は460億ドルで,2005年には740億ドルにのぼる見込みである。

 「企業の意思決定者は経済失速や対テロ戦争の影響をじっくりと検討し,リスクを避け,投資を先延ばしにしている。経済や安全性の見通しが明るくなれば,上級管理者はITサービスへの投資を再開するだろう。ITサービス・ベンダーは,決済処理,アプリケーションおよびデータ・センターのアウトソーシング,製品サポート,セキュリティと災害復旧といったサービスに注力するべきである」(Dataquest社IT Servicesワールドワイド・グループ部門主席アナリストのKathryn Hale氏)。

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