米IDCが米国時間1月29日に,新種のサービス・プロバイダ「AIP」(アプリケーション・インフラ・プロバイダ)の市場についての調査結果を発表した。

 AIPは,コンピューティング・インフラを提供するサービス・プロバイダである。エンド・ユーザーはAIPの提供するインフラを使って,アプリケーション,コンテンツ,ストレージ容量にアクセスする。

 IDCはネットワークとITサービスの業界が,ユーザーが必要な時に必要なだけITとネットワーク・サービスの供給を受けられる「コンピューティング・ユーティリティ(水道や電気,ガスのような公共サービス)・モデル」に向けて移行しつつある,と分析している。
 AIPは,インターネット・データセンターのような基盤から発展し,このユーティリティ・モデルを普及させる原動力になるという。その登場は,ISPやNSP,従来のITアウトソーシング・ベンダー企業など,さまざまなサービス・プロバイダに影響を及ぼすことになる。

 「AIPはアウトソーシングまたは管理サービスの形をとりながら,顧客の中核のインフラを管理するようになる。顧客のビジネス規模や,稼働中のシステムに応じて,ネットワークとITシステムの設計や構築,管理サービスを提供する。
 AIPはネットワーク,サーバー,アプリケーション,ストレージの主な機能を統合して提供する,業種/業務特化(vertically)のサービス・プロバイダとなるだろう」(IDCのDavid Tapper,Networked Infrastructure Management Services担当プログラム・マネジャ)。

 IDCは,AIPの成功のための要件として,顧客によるデータの制御,迅速なサービス提供を保証するためのアクセス回線,サポート,課金などの要求に対応することをあげている。インフラの性能をほぼ100%確約できるAIPが,勝者になるという。

 またIDCは,ユーティリティ・ベースのサービスを提供することは,既存のサービス・ベンダーには難しいかもしれないと指摘する。「ユーティリティ・ベースのサービスは本来,多数のユーザーに短期間で低価格のサービスを提供しなければならない。
 従来のサービス・プロバイダのサービス提供のプロセスは,このモデルとは正反対である。このような事業モデルの根本的な変換は,不可能かもしれない」(同氏)。

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