米Lucent Technologiesは米国時間10月9日に,ベル研究所(Bell Labs)の研究チームがあらゆる種類の無線ネットワークに対応した世界的なローミングを可能にするソフトウエア・アーキテクチャ「Common Operations(COPS)」を開発したことを明らかにした。

 CDMA2000やUMTS(Universal Mobile Telecommunications Services)などの第3世代(3G)方式や802.11といった高速データ接続技術に対応するという。

 COPSは,モバイル加入者が日頃使っているネットワーク(ホーム・ネットワーク)から離れ,異なる種類の無線技術が使われている地域でもローミングで音声やデータ・サービス,情報,メッセージにアクセスできる環境を提供する仕組み。モバイル事業者にとっても,自社のネットワークのアップグレードや管理を効率的に行えるという利点が生まれる。

 COPSは独自の“プロトコル・ゲートウエイ”が特徴。各種プロトコルを利用するネットワークのデータを共通言語(中間言語)に変換する。これにより,認証や認定,位置データといった加入者の情報を,さまざまな種類のネットワークからアクセス可能な一元的なデータとして管理できる。

 現在のところ,世界的な無線ローミングは実現不可能。異なるさまざまな無線ネットワークでは,連携してモバイル加入者の位置を特定することができないためである。例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式のモバイル事業者を利用しているモバイル加入者は,GSM(Global System for Mobile Communications)ネットワークでローミングしてサービスにアクセスすることができない。

 加入者が無線通話を行ったり音声メールなどのサービスを利用する場合,無線ネットワークは加入者の位置を特定し,加入者のデータ(利用サービスのリスト)を取得して認証を行う必要がある。今のところ加入者情報のデータベース(HLR:home location registers)はホーム・ネットワーク内から,または同様の技術を利用する無線ネットワークでローミングを行う以外にアクセスできない。

 COPSはHLR向けの共通のインタフェースを提供し,ユーザー・データや技術情報を,携帯電話機のプロトコルからIPに(またはIPから携帯電話機のプロトコルに)自動変換する。COPSを利用してHLRを構築することにより,顧客データベースがさまざまな種類のネットワークからアクセス可能になるほか,自動アップデートを行ったり,音声と高速データ・サービスの両方に対応するようになる。

 現在米国で構築されているネットワークは,CDMA(Code Division Multiple Access),TDMA(Time Division Multiple Access),GSM(Global System for Mobile Communications)の3種類。Common Operationsは,この異なるネットワーク間を接続する機能を備える。

 モバイル・インターネットに関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「モバイル」で詳しくお読みいただけます。

◎関連記事
「米クアルコムへのライセンスは不要」,豪社がソフト・ベースのCDMA通信に成功
「オールIPの携帯電話網」,クアルコムとノーテルがMobile IPの通信実験に成功
「米国の無線データ通信市場は6年間で80倍に,2006年には130億ドル規模」と米社
「米企業の21%と欧州企業の35%がモバイル・ソリューションに着手」と米IDC
米国のモバイル・ネット市場,7年間で62倍の258億9000万ドル規模に
モバイル・データ・サービス市場,2011年に1300億ユーロを現在の約20倍に
無線ネット・アクセスへの関心低い米国,“3Gをよく知っている"は10%

[発表資料へ]