米IDCが米国時間9月7日に,2001年のパソコン市場予測を下方修正したことを明らかにした。米国をはじめとする世界経済の低迷がさらに続くと予想されることから,分析し直したという。2001年における世界の消費者向けパソコン出荷台数は前年比9.6%減と予測する。先の予測では0.2%のマイナス成長としていた。

 最大の要因は,米国と日本市場における出荷台数の落ち込みにある。米国市場における2001年第2四半期の出荷台数は前期比17%減,前年同期比では21.8%減となった。2000年通年で50%の成長を示した日本市場は,2001年第2四半期に前年同期比10.2%減と落ち込んだ。

 「景気に対する懸念が膨らむなか,例えWindows XPをリリースしても,消費者向けパソコン市場は2001年後半になっても大きく成長することはない」(IDC)。

 「買い換え需要をみると,現在持っているパソコンで消費者の基本的なニーズをすでに満たしているだろう。この経済情勢のなかで買い換え需要を狙うのは極めて困難」(同社Client Computing部門ディレクタのRoger Kay氏)。

 IDCでは,米国の消費者向けパソコン市場における出荷台数は2001年に25%減少するみる。米国を除く世界市場では横這いとなり,2000年の39%増から大きく落ち込むことになる。

 またIDCは企業向けパソコンの出荷台数も減少すると予測している。米国市場では2001年に5.2%減少し,2000年の6.1%増から大きく落ち込む。世界市場における2001年の出荷台数は3.2%増にとどまるという。なお2000年は10.5%増だった。

 「多くの企業が買い控えている。十分パワフルなコンピュータをすでに導入していること,またプロセサ・パワーを必要とするアプリケーションが比較的少ないことがその原因」(同社Worldwide Quarterly PC Tracker部門ディレクタのLoren Loverde氏)。

 IDCでは,パソコン市場の回復は米国以外ら始まると予測する。それはWindows XPに弾みがつく2002年半ばから後半という。「米国経済の強さにもよるが,米国で消費者向けパソコンが回復するのは2003年あたり」(IDC)。また企業向けパソコンは世界の主要市場で2002年の終わり頃に回復するという。「このころには多くの企業がOSをアップグレードするようになる」(同社)。

■1999~2005年における,米国および世界のパソコン出荷台数/伸び率(単位:100万台)

  1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
米国市場出荷台数
消費者向け 17.2 18.9 14.1 11.6 13.1 13.9 14.6
企業向け 27.9 29.5 28.0 28.8 32.4 35.7 36.9
合計 45.1 48.4 42.1 40.4 45.5 49.6 51.5
米国市場出荷台数伸び率
消費者向け - 9.4% -25.0% -17.8% 12.8% 6.1% 4.9%
企業向け - 6.1% -5.2% 2.8% 12.6% 10.2% 3.5%
合計 - 7.3% -13.0 -4.1% 12.7% 9.0% 3.9%
世界市場出荷台数(米国を除く)
消費者向け 21.5 29.9 30.0 34.4 39.5 45.2 50.8
企業向け 47.2 53.3 57.5 63.8 71.7 80.3 88.9
合計 68.7 83.3 87.5 98.2 111.2 125.5 139.7
世界市場出荷台数伸び率(米国を除く)
消費者向け - 39.0% 0.1% 14.8% 14.9% 14.3% 12.4%
企業向け - 13.1% 7.8% 11.0% 12.3% 12.0% 10.7%
合計 - 21.2% 5.1% 12.3% 13.2% 12.8% 11.3%
世界市場出荷台数(米国を含む)
消費者向け 38.8 48.8 44.1 46.0 52.7 59.1 65.4
企業向け 75.0 82.9 85.5 92.6 104.1 116.0 125.8
合計 113.8 131.7 129.6 138.6 156.7 175.1 191.2
世界市場出荷台数伸び率(米国を含む)
消費者向け - 25.8% -9.6% 4.3% 14.4% 12.2% 10.6%
企業向け - 10.5% 3.2% 8.3% 12.4% 11.4% 8.5%
合計 - 15.7% -1.6% 6.9% 13.1% 11.7% 9.2%

出典: IDC, September 7, 2001

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