新生HPの会長兼CEO Fiorina氏米Hewlett-Packardが,米Compaq Computerを250億ドルで買収する。両社が米国時間9月4日に明らかにしたもの。98年1月に米Digital Equipment Corp.(DEC)を96億ドルで買収したCompaq社が,今度は買われる立場になった。「サーバー,パソコン,プリンタなどで世界1位の870億ドル企業が誕生する」(両社)。売上高870億ドルは,米IBMの900億ドルに次ぐ規模である。

 両社の役員会は,今回の買収に関して了承済みである。買収は2002年前半に完了する予定である。両社の過去4四半期にわたる業績結果をもとに計算すると,両社合わせて一時的な経費を除いた資産は約564億ドル,1年当たりの売上高は874億ドル,1年当たりの営業利益は39億ドルとなる見込みである。事業は160カ国以上におよび,14万5000人以上の従業員を抱えることになる。

 なお両社はコスト削減計画により,両社の事業を合わせた最初の会計年度(2003会計年度)で20億ドルのコスト削減効果が現れると見込んでいる。これにより「初年度通年の1株当たり利益(pro formaベース)が著しく増大する」(両社)。またこの計画が,2004会計年度の半ばには年間25億ドルのコスト削減を達成できる水準にまでに到達すると見込む。

 HP社の現会長兼CEOのCarly Fiorina氏(46)が,そのまま新生HPでも同じ地位にとどまる。Compaq社の現社長兼CEOのMichael Capellas氏(46)が社長に就く。Capellas氏をはじめ,Compaq社役員会のメンバー4人がHP社の役員会に加わる。

 新会社の拠点は現HP社本社のあるカリフォルニア州パロアルトに置く。Compaq社の本社であるテキサス州ヒューストンは「技術や製品開発の戦略センター」(両社)と位置づける。

 250億ドルは株式で支払う。Compaq社の株主は1株当たり0.6325株(HP社が新たに発行)を取得する。この結果,新生HP社の株式は,現HP社の株主が64%,現Compaq社の株主が36%保有することになる。

 新生HPは,次の四つの事業部門で構成する。なお両社はそれぞれの担当幹部の名前も発表している。数字は両社を合わせた過去4四半期の売上高合計である。

・Imaging & Printingフランチャイズ事業
 HP社Imaging and Printing Systems部門社長のVyomesh Joshi氏
 200億ドル

・Access Devices事業
 HP社Computing Systems部門社長のDuane Zitzner氏
 290億ドル

・IT Infrastructure事業(サーバー,ストレージ,ソフトウエアの事業を含む)
 Compaq社Sales and Services業務執行副社長のPeter Blackmore氏
 230億ドル

・サービス事業(コンサルティング,サポート,アウトソーシング)
 HP社Services部門社長のAnn Livermore氏
 150億ドル

 なお米IDCの調査によると,2001年第2四半期の世界パソコン市場でCompaq社は2位,HP社は4位である。単純に合計したシェアは,1位の米Dell Computerを6ポイント近く上回る。また2001年第2四半期のサーバーの世界市場(米Dataquest調べ)では,Comapq社が1位,HP社が4位。同時期のワークステーションの世界市場(米Dataquest調べ)では,Compaq社とHP社はそれぞれ4位と5位につけている。両社の出荷台数を単純に合計すると,米Sun Microsystemsを抜き,Dell社に次ぐ2位となる。

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