旅行予約サービスの米Sabreが,米Compaq Computerのフォルト・トレラント・サーバー「NonStop Himalaya」を導入することで,1億ドル強の複数年契約を結んだ。両社が米国時間8月28日に明らかにした。

 契約には,データベース環境やサポート・サービス「Compaq Global Services」の提供なども含まれる。

 Sabre社は旅行関連のアプリケーション・サービスやシステムを提供する大手プロバイダ。同社では,航空券の予約・販売向けアプリケーションの需要が年間70%のペースで急増するとみており,オンライン・サービスのプラットフォームを既存のメインフレーム・システムからNonStop Himalayaに切り替える。無停止サーバーを導入することで,こうした需要増に対応可能なインフラを整える。

 Sabre社のシステムを利用する航空会社や旅行代理店による空席情報や料金などのデータ更新処理も高速化,信頼性も高められるという。具体的には,NonStop Himalayaへの切り替えにより,運賃データの更新にかかる処理時間を75%短縮,生産性を100%向上できるという。TCO(total cost of ownership)も40%程度削減する。オープン・システムのため,新技術の組み込みやサード・パーティのアプリケーションの利用など,導入にかかる時間も短縮できるとしている。

 Compaq社は,大規模データ・ベース向けの高速データ処理技術「Zero Latency Enterprise(ZLE)」も提供する。Sabre社の航空券販売システムは,合わせて50億件を超える運賃データを管理しており,「データ量が膨大であるうえ,料金の変更ルールはとても複雑。料金情報のデータ更新回数は1日平均30万回を超える。システムの運用は容易ではない」(Sabre社Chief Technology OfficerのCraig Murphy氏)という。

 なおSabre社傘下のGetThere社は7月30日(米国時間)に,「企業向け旅行予約サービス,オンラインはオフラインより手数料が平均46%割安。法人の利用が今後急速に拡大する」との調査結果を発表している。

 またCompaq社は全ての64ビット・サーバー製品をItaniumベースに統合することで米Intelと提携関係に入っている。Himalaya向け「NonStop Kernel」のほか,「Tru64 UNIX」「Open VMS」の各OSおよび開発ツールもItaniumプロセサに移植する。

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[Sabre社の発表資料]
[Compaq社の発表資料]