米International Data Corporation(IDC)が米国時間6月6日に,2001年のパソコン市場予測を大幅に下方修正したことを明らかにした。景気減速の現状などを要因として挙げている。
2001年第1四半期の米国消費者向けパソコン市場は,出荷台数ベースで前年同期比26.4%減と大きく落ち込んだ。これに伴いIDCは,2001年通年における米国市場の成長予測を前年比2.2%増から6.3%減へと大幅に引き下げた。特に消費者向け市場が,景気の悪化に伴って17.3%程度落ち込むという。
「季節要因による変化は従来通りとなるものの,年末の盛り上がりをそれほど期待できない」(IDC,Client Computing部門ディレクター,Roger Kay氏)。
一方で企業向け市場(米国)は第1四半期に5%前後のプラス成長を確保した。しかし,第2四半期以降は企業向けも急速に冷え込むとIDCはみる。2001年通年の市場は前年比0.6%成長とほぼ横ばいか微増になると予測している。
「米国ではサーバー市場など一部の部門が成長を堅持しており,現状では景気後退(リセッション)に入っているとはいえない。しかしながら,自動車,鉄鋼,コンピュータなど多くの主要産業が不振なのは明らかで,この影響が2002年まで続く可能性が高い。こうした市場環境から,2002年における米国市場の成長率も前年比4.6%程度にとどまるだろう」(IDC)。
IDCは,世界市場についても下方修正した。予測値を,前年比10.3%成長から5.8%成長へと引き下げた。2001年における世界市場は米国の不振が大きく影響する。同様に,2001年の米国以外の地域における予測も,15.1%成長から12.9%成長へと下方修正した。
西欧地域での消費者支出が落ち込んでいることや,ここ2年間著しい成長を遂げてきたアジア市場での伸びが鈍化していることなどが主な要因。また,カナダと南米も米国における減速の影響を受けて伸び悩むほか,中東地域でもトルコなどの不振で落ち込む。ただし,西欧の企業向け市場で「明るい兆しが見え始めた」(IDC)としている。
「米国市場の落ち込みは明らかで,問題は欧州とアジアがどの程度米国の影響を受けるかということになる。特にアジアは輸出に大きく依存しているため,米国市場の余波をそのまま被ることになりやすい。ただし,多くの国々でパソコンの普及率がまだ低いため,2ケタ成長の潜在力は残っている」(IDC,Worldwide Quarterly PC Trackerのディレクター,Loren Loverde氏)。
IDCは,2002年における米国以外地域の成長率は16%,世界市場は12.2%と予測している。1999年から2005年までの成長予測について,詳細は以下の通り。
■表 米国市場および世界市場のパソコン出荷台数と成長率予測(1999年~2005年:単位100万台)
1999年 | 2000年 | 2001年 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 | |
米国市場出荷台数 | 45.1 | 48.4 | 45.3 | 47.4 | 54.1 | 58.2 | 60.8 |
成長率 | - | 7.3% | -6.3% | 4.6% | 14.2% | 7.5% | 4.5% |
世界市場出荷台数 | 113.6 | 131.3 | 138.9 | 155.9 | 178.1 | 197.2 | 215.5 |
成長率 | - | 15.6% | 5.8% | 12.2% | 14.3% | 10.7% | 9.3% |
出典: IDC, June 2001
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