「2000年の世界のパソコン業界の伸びは穏やかなものに留まった。第4四半期の成長鈍化が原因」---米Gartner Group Dataquestが2000年の世界パソコン市場について調査し,速報値を米国時間1月19日に発表した。

 2000年の世界市場におけるパソコン出荷台数は1億3470台で,前年比で14.5%増だった。米国の出荷台数は前年と比べて10.3%増加した。

 「2000年第4四半期におけるパソコン出荷台数は世界市場で10%増,米国では6.4%増に留まった。主要市場が飽和状態に達したことが,市場全体の成長に大きな影響を与えている。新規出荷も,買い替え需要の低迷を埋め合わせることはできなかったようだ」(Dataquest社Computing Platform Worldwideグループ,主席アナリストのCharles Smulders氏)。

 また同氏は,「一般消費者向けの販売が最も伸びるはずの第4四半期と景気後退が重なったのは業界にとって不運だった。消費者向け市場は景気の先行き不透明感に最も敏感に反応する。しかし調査結果は,企業向け市場も景気が下向きであることを示している」と指摘する。

■表1 2000年のメーカ別パソコン出荷台数<世界市場>(単位:1000台/速報値)

メーカ 2000年の出荷台数 2000年の市場シェア
(%)
1999年の出荷台数 1999年の市場シェア
(%)
成長率(%)
Compaq Computer 17,203 12.8 15,870 13.5 8.4
Dell Computer 14,536 10.8 11,459 9.7 26.9
Hewlett-Packard 10,237 7.6 7,600 6.5 34.7
IBM 9,162 6.8 9,331 7.9 -1.8
NEC 5,848 4.3 6,045 5.1 3.3
Gateway 5,110 3.8 4,745 4.0 7.7
その他 72,642 53.9 62,577 53.2 16.1
合計 134,738 100.0 117,626 100.0 14.5

注:数値はデスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,サーバ機を含む。
出典:Dataquest社

 上位メーカのうち,世界市場と米国市場の両方で成長率が業界平均を上回ったのは米Dell Computerと米Hewlett-Packard(HP)だけだった。Dell社の成功の要因は,第4四半期の積極的な価格設定によるところが大きいようだ。HP社は消費者向けの販売力と小売りチャネルのサポートが強固であるためと,Dataquest社は分析する。

■表2 2000年のメーカ別パソコン出荷台数<米国市場>(単位:1000台/速報値)

メーカ 2000年の出荷台数 2000年の市場シェア
(%)
1999年の出荷台数 1999年の市場シェア
(%)
成長率(%)
Dell Computer 9,430 19.1 7,263 16.2 29.8
Compaq Computer 7,615 15.4 7,234 16.1 5.3
Hewlett-Packard 5,641 11.4 3,939 8.8 43.2
Gateway 4,271 8.6 4,021 9.0 6.2
IBM 2,674 5.4 3,290 7.3 -18.7
その他 19,800 40.1 19,065 42.5 17.4
合計 49,432 100.0 44,811 100.0 10.3

注:数値はデスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,サーバ機を含む。
出典:Dataquest

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