フランスのThomson multimediaとフランスのAlcatelは現地時間6月7日に,Thomson社がAlcatel社のDSLモデム事業を買収することで了解覚書(Memorandum of Understanding:MOU)に署名したことを明らかにした。

 Thomson社は同社の株式950万株(総額4億5600万ユーロ)を新たに発行し,Alcatel社に支払う。手続きは今年中に完了する予定である。

 両社は今回の事業移管によって,これまでの提携関係を強化するとしている。

 「Thomson社へのDSLモデム事業売却は,ネットワーク・インフラ市場に目を向けたAlcatel社の戦略に則したもの」(両社)。米Dell'Oroによると,Alcatel社はDSLマルチプレクサ(DSLAM)市場で52%のシェアを占めるているという。今後は特にビデオ・サービス向けのDSLインフラに注力する。なおDSL部品製造部門は維持する。

 DSLモデムはThomson社が得意とする消費者向け市場での成長が期待されている。Thomson社はDSLモデム事業買収により,衛星向けセットトップ・ボックス(STB)やデジタル・ケーブル・モデム事業,デジタル地上波分野の開発を拡充する。

 Alcatel社のDSLモデム事業は2000年に約170万台のモデムを販売した。市場シェアは2000年が22%,2001年第1四半期は28%だった(Dell'Oro社調査)。家庭向けと企業向け製品を手がけており,Ethernet,USB,無線LANに対応する。顧客には米SBC Communications,米Bell South,メキシコのTelmex,フランスのFrance Telecom,英British Telecom,スペインのTelefonica,中国のChina Telecom,オーストラリアのTelstraなどが含まれる。

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[www.thomson-multimedia.comに掲載の発表資料]
[www.home.alcに掲載の発表資料]